中国
2015年の日中関係は、昨年同様、波乱の一年に!? ~北京訪問記(前編)
〔PHOTO〕gettyimages

現代ビジネスの本コラムをご愛読いただいている皆様、新年明けましておめでとうございます。

本コラムは、まもなく5周年を迎えます。本年も、中国を中心とした東アジアの諸事情について、思うところを述べていきたいと思います。237週目の今回は、年末年始の北京訪問記(前半)を記します。

「原油価格下降効果」にあずかる中国経済

○12月27日(土曜日)
夜、北京首都国際空港に降り立つと、底冷えのする大陸の北風と社会主義国家独特の閉鎖感、それにPM2.5の粒子が襲ってきた。台湾や韓国の空港に降り立っても、あまり日本との違和感を感じないものだが、中国はズシリと別世界だ。

空港で周囲の中国人たちが、何やら慌てている。数日後には同じ場所で小規模の爆破事故が発生したが(報道統制がかかって報じられていない)、この時の慌てぶりは、北京市内の地下鉄とバスが夜9時をもって一斉にストップしたことによるものだった。

翌日朝から市内の地下鉄は、一律2元 → 3元~6元、バスは一律1元 → 2元以上と値上がりした(1元≒19.1円、以下同)。それに伴って、システムを入れ替える必要から、夜9時をもって営業終了したという。

乗客が一週間で最も少ない時間帯に作業するという配慮には進歩を感じるが、それにしても空港には掲示すらない。そのため降り立った人々は困惑するばかりだった。 

仕方なくタクシーに乗って市内へと向かう。北京の運転手は一般にコワモテが多いが、高速道路を疾駆する運転手が、ずっと朗らかな口調で仲間と携帯電話でだべっていた(運転中の通話は禁止されているが、多くの運転手が無視している)。電話を切ったところで、「北京の景気がいいのですか?」と聞いてみた。すると運転手、ニヤッとして次のように答えた。

「北京の景気がよいのではなくて、オレの景気がいいのだ。なぜなら、わずか3ヵ月前まで1ℓあたり8.2元していたガソリンが、いまや6.2元なのだから。これで1日20元~30元の経費削減になる」

そう言われて思い出したが、中国のタクシーは、毎月運転手がタクシー会社に一定額を収める仕組みになっている。燃料代は運転手持ちだ。だから原油価格が下がれば、それだけタクシー運転手の収入は増えることになる。

タクシー運転手ばかりでなく、中国全土の車を保有する個人と企業が「原油価格下降効果」にあずかっていることになる。中国では2014年も自動車販売台数が2000万台を突破し、トップを走るGMは12月29日、1997年の中国創業以来の販売台数が、累計1000万台を突破したイベントを開いたほどだ。そのような世界最大の車社会にとって朗報なのである。

中国は、世界最大の原油輸入国で、毎月1100万tもの原油を消費している。最新の統計では、2014年10月の輸入量は2409万tで、サウジアラビアからが一番で399万t、ロシアからが二番で331万tとなっている。中ロ蜜月時代を象徴するかのように、2013年のロシアからの輸入量は2300万tだったが、2014年は10月までですでに2480万tに達している。このような中国にしてみれば、不動産バブルの崩壊や地方債焦げ付きによる経済失速の埋め合わせを、原油価格下降が補ってくれていることになる。まさに日照りに慈雨のようなものだ。

ついでに言うと、この後計5回タクシーに乗ったが、6人中2人の運転手が、運転中に株式ニュースのラジオをボリューム一杯につけ、ハンドルにスマホをあてがいながら、株式の売買をやっていた(中国のタクシー運転手は、運転中にケータイを持って私用電話もすれば、株の売買もやる)。

このところ中国株が、にわかに息を吹き返し始めているのである。2014年の一年で、上海総合株価指数は、2115ポイントから3234ポイントへ、52%も上昇した。ここ数年、まったく見なかった「股民」(個人投資家)を、街のそこここで見かけるようになった。久しぶりに、レストランのトイレで小便をしながらスマホで株を操作している男も見た。「股民」の増加も同様に、経済効果は大きい。

同じく頻繁に見かけるようになったのが、インターネット通販の配達員たちである。どこのビルやマンションのエレベーターに乗っても、必ずと言ってよいほど同乗してくる。一昔前までは、通販で申し込みをしたからといって配達員がきちんと届けてくれるとは限らなかったから、随分と進歩したものだ。

それから、街の広告でよく見かけるものが二つあった。一つは、「霾星人」(マイシンレン)という商品の広告だ。これは、鼻につける小型の空気清浄機で、PM2.5の99.9%をシャットアウトするのだという。美女が「異星人」よろしく「霾星人」を付けてニコッと笑っている写真の脇に、「最高級防御産品!」と記されている。「最新北京みやげ」として一つ買いたかったが、通販でしか取り扱っていないらしく、手に入らなかった。加えて、これほど大宣伝しているのに、「霾星人」を付けて街を歩いている人を、ついぞ見かけなかった。

もう一つ目についたのが、習近平政権が掲げる政治スローガンだった。これについては後述する。

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