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決定! 立派だった日本人 芸能界ベスト20人&スポーツ界ベスト20人(1945年~2015年)——我々を励まし勇気づけてくれたのは、この人たちだった

芸能界ベスト20人
石原裕次郎、吉永小百合は?
高倉健か美空ひばりかそれとも渥美清か

評者/鴨下信一×木村隆

国民のひばりへの愛憎

鴨下 戦前と戦後では、大衆がスターに求めるものが変わりました。戦後は彼らの生き方まで問われるようになった。見る側がスターと自分の姿を重ね合わせるようになったからです。

木村 だから、スターと呼ばれる人たちは、役の人物像に自分の人格を近づけようとするようになった。典型的なのが、先頃亡くなった高倉健さんでしょう。

鴨下 健さんは役柄も生き方もすべて自分で造型し、その通りの人生を歩んだ。凄まじいまでの克己心でした。不器用と言われたけど、本当は多才でコミカルな演技までできた人なんです。

木村 健さんは、コメディーもやれたんですか?

鴨下 『網走番外地』シリーズ('65年~)にはコメディアンが何人もゲストとして登場し、健さんと絡みましたが、本職たちが健さんに負けてしまっていた。

木村 東映の仁侠映画でスターになった健さんですが、代表作を一本選ぶとなると、松竹の『幸福の黄色いハンカチ』('77年)となるでしょう。あの主人公の島勇作役こそ、健さんが演じ続けた人物像の象徴でしたね。

鴨下 健さんは自分で役柄を「憧れの日本人像」に絞り、最後まで役通りの人生を貫いた。本当に立派な人です。

さて、戦後70年の芸能界の立派な20人に健さんは確実に入るとして、これをランキング化するのは、極めて難しい。

木村 芸能といっても、歌舞伎などの古典芸能、落語、演劇まで幅広いですからね。比べようがない。

鴨下 歌舞伎では、市川團十郎(十一代)さん、中村勘三郎(十七代)さん、中村吉右衛門(初代)さんの功績はもちろん大きい。

木村 演劇界を見渡せば、滝沢修さん、宇野重吉さんも立派な人に入るでしょう。とてもじゃないけど20人では収まりませんね(笑)。

鴨下 落語の志ん生や談志はどうするのかという問題もあります。だから、論じるのは大衆性の高い役者や歌手に絞って、ランキングは編集部に任せることにしましょう。