決定! 立派だった日本人 政界ベスト20人&財界ベスト20人(1945年~2015年) ——我々を励まし勇気づけてくれたのは、この人たちだった

2015年01月10日(土) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

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財界ベスト20人
松下幸之助、本田宗一郎、土光敏夫ら大物がズラリ
3人の創業者がトップ争い孫正義と柳井正は?

評者/奥村宏×水谷研治

中内㓛の成功と失敗

水谷 立派な経営者というのは、経済活動を通じて日本社会を良い方向に変えた人、と言うことができると思います。経営者としてただ会社を大きくしただけでは、立派とはいえないでしょう。幅広い人脈を活用して社会を動かしたり、手にした財を社会に還元したりすることも評価基準ですね。

奥村 そういう意味で、戦後を代表する名経営者と言えば、まず名前が浮かぶのが松下幸之助さんです。

水谷 そうですね。幸之助さんは丁稚奉公の身から、松下電器(現パナソニック)を一代で大企業に育てあげた。実業の他にも数多くの功績を残しています。PHP研究所を設立して啓蒙活動を行い、さらに政治の重要性を認識して松下政経塾も創った。

奥村 私は駆け出しの新聞記者時代に、幸之助さんを取材したことがあります。そのときに思ったのですが、幸之助さんの話って、難しい理屈はいっさいないんです。彼の提唱した「水道哲学」も、水道の水のように大量にものを作れば値段も安くなって誰もが使えるようになる、というもの。あとから聞けば当たり前すぎる話なのですが、この哲学を社員に浸透させる力がすごい。日本中に電化製品を普及させ、暮らしを便利にしたい、という強い理念を持っていた。

水谷 企業は生まれて、発展成長期を経て、熟成期を迎え、やがて衰退していきます。そこで後継者にうまいことバトンを渡し、引き継ぎに成功した場合、企業に永続性が生まれる。立派な経営者はこれを実現しています。この点からも、松下幸之助さんは成功例の筆頭でしょう。同様に、一代で世界的自動車メーカー、本田技研工業を作り上げた点では、本田宗一郎さんも外せません。

奥村 これもかつて私が本田技研の工場を取材したときの話ですが、多くの工員が作業服を着て作業している中、同じく作業服姿で周りに指示を出す年配のおっさんがいた。それが本田さんでした。後に京都の祇園で接待を受けたこともありますが、そこに本田さんが現れたかと思うと、芸者相手に猥談を始めるのだから、圧倒されましたね。仕事も遊びも全力。そこが魅力的でした。

水谷 さらに本田さんが立派なところは、引き際が美しかったこと。副社長として本田さんと二人三脚で会社を大きくしてきた藤沢武夫さんと同時に、すっぱりと引退した。自分の血縁を会社に残すこともありませんでした。世襲の弊害を知っていたのでしょう。

奥村 ソニーも、創業者で技術屋の井深大さんは早い段階で自ら社長を退き、自分の子供にも継がせませんでした。

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