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決定! 立派だった日本人 政界ベスト20人&財界ベスト20人(1945年~2015年)
——我々を励まし勇気づけてくれたのは、この人たちだった

焼け野原から復興の道を一気に駆け抜けた日本の「戦後70年」。どの時代にも、国民に勇気を与え、進むべき道を指し示してくれる立派な日本人がいた。政界、財界からスポーツ、芸能界まで、ベスト100人を公開する。

政界ベスト20人
田中角栄、中曽根康弘は?小泉純一郎、小沢一郎、安倍晋三は?
1位には吉田茂ではなく、あの人が選ばれた

評者/田原総一朗×田﨑史郎

高潔なだけではダメ

田崎 いちばん立派な政治家は誰か、というのは難しいテーマですね。

田原 「立派」の基準っていったい何だ、という話になりますから。

田崎 そもそも、政治家はあまり大衆から尊敬される職業ではないし……。

田原 そうですね。彼らは憎まれてナンボ。竹下登は、「国民に好かれたいなら野党の政治家になればいい。与党の政治家になるなら、国民に憎まれる覚悟を持て」と言っていました。その覚悟がないと、大成できない。

田崎 あえて言えば、政治家の価値を測るうえで基準になるのは、日本という国の枠組みを作ったかどうか。その意味では、吉田茂や岸信介、池田勇人の名前がまず挙がるでしょう。

田原 岸は「憎まれる政治家」の典型でした。確かに吉田については、彼が日本の戦後復興の出発点を作ったことは間違いない。しかし、あの国民の猛反発の中で日米安保改定を成し遂げたということを考えると、岸に軍配が上がるかなあ。

'60年安保の当時は僕も学生で、毎日デモに参加して「安保反対」「基地やめろ」と叫んでいたけど、誰も条文を読んでなかった。東大で学生運動を指導していた西部邁も、後で聞いたら「読んでない」って(笑)。岸はA級戦犯なのに、東条英機が処刑された翌日に釈放されたから、「きっとアメリカと密約を結んだに違いない」と皆思っていたんです。安保改定で日本も戦争に巻き込まれると。でも、そうじゃなかったんですね。

田崎 「アイゼンハワー大統領が来日する前に衆議院を解散して、信を問えば勝てる」と岸は考えていたけれど、やらなかった。もし'60年に解散を打っていれば、岸内閣がもうしばらく続いたかもしれません。

田原 立派というと、大平内閣で官房長官をやって、その後自民党総裁を生涯固辞し続けた伊東正義なんかは、筋は通っていたけれど結局は建て前の人だと思うんですよ。政治家は建て前では仕事できませんから。どんなに高潔だろうと、最後は「何をやったか」で評価される。

田崎 その点、人間的な魅力と政治における結果を兼ね備えているのは、やっぱり田中角栄ですよ。

田原 小学校卒で首相になった人は、後にも先にも角栄だけですからね。角栄ほど官僚をうまく使った男はいない。各省の課長クラス以上の誕生日はおろか、結婚記念日、子供の誕生日まで覚えていた。竹下は角栄からこの手法を教わって、真似したそうです。