白河桃子×安藤哲也 ~時代はイクメンからイクボスへ~
【第4回】「ママが働いて子供を預けることが、必ずしも子供に悪影響を与えるわけではない」

[左]安藤哲也(NPO法人ファザーリング・ジャパン代表)、[右]白河桃子さん(少子化ジャーナリスト)

【第3回】はこちらをご覧ください。

家族政策の重要性をもっと認識すべき

白河: 少子化って、一朝一夕では絶対どうにもならないから、ヨーロッパでも結局20年ぐらいかかっているわけですよ。だから、せめて今いる子供たちを、どんな親のもとに生まれても、しっかり大切に育てることも立派な少子化対策だと、先日の委員会で話させていただきました。

今は、あまりに親に任せきりではないでしょうか? 親が貧困だと子供も一緒に貧困になる。前にも安藤さんもおっしゃっていましたし、タイガーマスク基金でもやられているけれども、日本には給付型の奨学金が異様に少ないですよね。もっともっと増えるといいなと私は思っているんですが。

安藤: 大学の奨学金も基本的には金融ビジネスですからね。

白河: 海外はもっとたくさん給付型の奨学金があるし。大学までタダで行けるようなところもある。しっかり大学まで行くだけがいいことじゃないけれども・・・。

安藤: つまるところは、将来の国を支える労働者・納税者を育てているわけだからね。

白河: 将来の納税者をちゃんと育てておかないとダメですよね。少子化、少子化って言いながら、生まれた子供たちをちょっと放っておきすぎる。親に任せすぎている感じがするんです。

安藤: 家族主義の弊害もありますよね。伝統的な家族観を持っている人たちが物事を決めているうちは、なかなか変わらない。だから僕は「子ども省をつくれ」ってずっと言い続けているんです。あるいは「家族省」でもいいですよ。文科省とか、厚労省で分けないで家族・子どものあらゆる問題をワンストップに政策を考える省庁がそろそろ欲しい。ドイツなんかはそうだよね。

白河: 韓国にもあるし、フランスにもあります。

安藤: 家族政策というものが、国にとっていかに大事かということを、政治家も一般市民もメディアも、もっと認識すべき。自己責任論で片付けないで。

白河: そうですよね。今、とりあえず、家族で子供を育てましょうっていうところまではいっているんだけれども、家族からこぼれちゃった人に対しては、セーフティーネットが何もない。

安藤: すぐに「親が悪い」みたいな話になっちゃうでしょう。悪いと言われても、そのまた親が貧困だったりしたら、どうしようもない。再生産しただけの話なんですよ。

白河: そう。貧困は再生産する。少子化タスクフォースで「日本には子供オンブズマンがない」という報告もありました。国連で定められていて、ほかの国は全部あるのに、子供オンブズマンすらないっていうのは、ちょっとひどい。これは、やっぱりFJにも、ぜひ着手してほしいですよ。

安藤: 親の子どもに対する懲戒権は、基本的親子関係について定める民法882条に規定されています。

白河: 「子供は親のもの」的な感覚のままきています。

安藤: 虐待による子どもの死って、実は昔はすごく多かったと聞きます。折檻などで家の中で、人知れず亡くなっている子どもが昔はいっぱいいた。いつの時代にも児童虐待はあるのです。

白河: 戦前はもっとひどかったでしょうね。

安藤: それこそ、口減らしのためにわが子を売ったりしていたわけだから。貧しくて仕方なかったんだろうけど。

白河: 確かに。『おしん』みたいに、7歳の子が米一俵で奉公に出るみたいな話もあったわけですよね。

安藤: 滅私奉公。悲惨な環境で猛烈に苦労してたたき上げていく、みたいな話がなぜ日本人は好きなのか。

白河: 確かに。

安藤: 僕は前世がイタリア人だから、全然興味がない(笑)。長時間残業して、死ぬほど頑張って評価されようなんて思ったことがないんですよ、1回も。毎日が楽しく仕事して、そこそこ儲けて、仲間や家族とおいしいビールが飲めりゃあそれでいいじゃん、としか僕は思っていないです。

白河: なるほど。それは前世がイタリア人ですね。

安藤: 「滅私奉公」とか「サービス残業」みたいな言葉は、僕の辞書にはない。滅私奉公なんて、イタリア人には理解不能だと思う。自分を殺してまで組織にサービスするなんて有り得ないじゃないですか、あの人たちの感覚からすると。

白河: ぜったいに有り得えない(笑)。

安藤: 日本人もこれからは、血中イタリア人濃度を上げるべきですよ。『おしん』とか『忠臣蔵』とかのメンタリティってちょっと勘弁。好きな人には悪いけど。

白河: でもあれが日本の会社文化の原型なんですよね。

安藤: そうなんです。最近、日本人が忘れたものとしてああいうメンタリティにまたスポットが浴びてたりするけど、それはちょっと違うなと思いますね。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら