白河桃子×安藤哲也 ~時代はイクメンからイクボスへ~
【第3回】「育児したいのにボスのせいで帰れないという男性も、社会的弱者だと思う」

[左]安藤哲也(NPO法人ファザーリング・ジャパン代表)、[右]白河桃子さん(少子化ジャーナリスト)

【第2回】はこちらをご覧ください。

子育てにはチームスピリットが必要

白河: 政府の動きを見ていて思ったんですが、今、まさに追い風ですか? 女性活躍と、イクメン、イクジイ、イクボスは、全部。

安藤: 僕らは全部セットだよって言っています。

白河: やっぱりセットですよね。

安藤: 女性活躍も、さっき言ったように、上から目線の政策なので。

白河: 上から目線って、例えば、どんなところが?

安藤: そもそも「女性活躍」って言葉が変ですよ。いまさら言われなくても、これまでだって女性は活躍しているじゃん、って思っちゃう。

白河: 確かに。女性活用と活躍と、両方あるんです(笑)。

安藤: 「活用」なんて、もう本当にひどい男性が作った言葉。女性の上の人が「女性活用」なんて言わないよって思うんですよ。

白河: 絶対に言わない。活躍のほうがまだマシかも。

安藤: そもそもポテンシャルはみんな持っているわけであって、それを発揮させてこなかった社会や制度が問題なわけですよ。しかも、「男性が育児に関われるような環境を整えないで、女性に相変わらず育児、家事をやらせながら、もっと仕事もしろって言うの?」みたいなことで。

白河: 今の女子大生は「女性活躍」という言葉すら知らないです。みていて感じるのは、将来の両立に関してはあまり希望を持っていない感じですね。

バリバリ働きたい人は、漠然とした不安のみがある。そうでない人は、もうワークライフバランスがいい企業にいって、補助的な仕事で長くつとめたいと思っている。いわゆる「ゆるキャリ」志望になっています。母親が専業主婦だったのに加えて、父親はまったく家事育児をやっていなかった世代なので、そもそも両立が想像できないんです。

安藤: だから女性のエンパワーメントと、イクメン・イクボスはセットでやらないと意味がない。1人の資源なんて限られているわけだから。個人だけでなく組織も社会も変わっていかないと、女性も男性も誰もがいきいきと自分の能力を発揮できる社会にはならない。

白河: 「イクメンになる資質のある人ってどうやって見分ければいいんですか?」って、よく生徒に聞かれるんですけど、安藤さんならどう答えられますか?

安藤: 特別なスキルじゃないんですよ。例えば、人の話を聞くことができるとか、思いやりがあるとか、そういうレベルの話なんです。

白河: 女性サイドも同じようなことを言っていました。この間、小室淑恵さんがイベントで「どうやったらいい男性を見分けられますか?」という質問に答えていました。女性の側から真剣な話、わりと深い話をしなさい、と。

真剣な話をするときに、女の人って途中で絶対に言い間違えをするんですって。例えば、ワークライフバランスだからWLBなのに、WLCと言っちゃったり。何かしらあるわけですよ。そうすると、そこをいちいち突いてきて、「何だよ、それ」って言って話を途中で遮る人はやめときなさい、って。

安藤: その例え、わかりやすいな。

白河: 途中で遮ろうとするのは、やっぱりその議論の末に女性に上に立たれたくない人なんです。

安藤: うん、うん。本音が見え隠れしますよね。

白河: だから、話をするっていうのは、まさにそこですよね。話を聞いてくれる人。

安藤: そうですね。あと、同性の友達がいっぱいいるとかね。仲間がいるっていうことが生活や仕事にはすごく大事なんですよ。育児なんて一人で悩むものじゃない。困ったときに助け合えるわけだから。

白河: そうなんだ。私は逆に、男の友達がたくさんいる人は奥さんなんかいらないのかと思っていました。男ばかりでつるんで遊んでいる人たちっているじゃないですか。

安藤: つるむっていう意味じゃなくて、特に慕われているというかな。

白河: そうか、逆なのか。私は逆に男からはつまはじきみたいな人がいいくらいなのかって思ってました(笑)。要するに、そういう体育会的な「おい、○○行こうぜ」みたいなつるみ方をしない人のほうが家庭にいてくれるのかな、と思っていました。でも、協力し合える良き仲間? 仲間もみんなイクメンであると望ましいんですね。

安藤: みんなで何かを一緒にやろうとする仲間がいるってこと。チームスピリットがある人がいいと思います。

白河: なるほど。奥さんとも子どもともチームですものね。

安藤: 家族もチームですよ。子育てを始めると、夫婦はプロジェクトメンバーですから。

白河: わかる。まさにそうです。プロジェクトメンバーです。

安藤: そういうのって、学校で教わることじゃなくて、やっぱり小さい頃からの積み重ねだから。

白河: じゃあやっぱりスポーツとかやっていた人のほうがいいのかな? あまり関係ないですか?

安藤: いや、スポーツだと体育会系になっちゃって精神主義に向かいがち。生徒会とかバンドがいいかも。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら