「"売り手"ではなく"伝え手"として、日本の伝統産業をつないでいきたい」---株式会社和える 代表取締役矢島里佳
矢島里佳(株式会社和える代表取締役
1988年東京都生まれ。職人の技術と伝統の魅力に惹かれ、19歳の頃から日本の伝統文化・産業の情報発信の仕事を始める。「21世紀の子どもたちに、日本の伝統をつなげたい」という想いから、大学4年時である2011年3月株式会社和えるを設立、慶應義塾大学法学部政治学部卒業。幼少期から職人の手仕事に触れられる環境を創出すべく、子どもたちのための日用品を、日本全国の職人と共につくる“0から6歳の伝統ブランドaeru”を立ち上げる。また、全国の職人とのつながりを活かしたオリジナル商品・イベントの企画、講演会やセミナー講師、雑誌・書籍の執筆など幅広く活躍している。2013年3月、慶應義塾大学院 政策・メディア研究科修士課程卒業。2013年末、世界経済フォーラム(ダボス会議)のヤング・グローバル・シェイパーズに選出される。2014年7月、書籍『和える-aeru- 伝統産業を子どもにつなぐ25歳女性起業家』を出版。
 和える:http://a-eru.co.jp
 aeru meguro:http://shop.a-eru.co.jp
 ツイッター:@Rika_Yajima

0から6歳の伝統ブランドaeru」は、「"本"当に子どもたちに贈りたい日本の"物"」=ホンモノの魅力を子どもたちに伝えることを原点に、「徳島県から 本藍染の産着」など、日本の伝統産業で赤ちゃんに向けた商品をつくり届けている。その株式会社「和える(aeru)」を生み育てているのが矢島里佳さん(26)。

大学時代に、日本の伝統産業、職人たちの技にほれ込んだ矢島さんは、その魅力を伝えたいと、雑誌で連載を始め、それがきっかけで和えるを立ち上げた。2011年3月、大学在学中の22歳のときだった。そこから矢島さんは、全国の職人たちのもとを訪れ、その技と現代の感性を"和える"ことで、赤ちゃん・子どもたちに向けた日本の伝統産業品をつくり届けている。そして、4年目を迎えた2014年7月に直営店をオープンさせた。その場所で、矢島里佳さんにaeruがこれから紡ごうとしているちょっと先の未来の物語を中心に話を聞いた。

"伝え手"としてモノの物語を丁寧に紡ぐ場所

「私たちは"売り手"ではなく"伝え手"、お客さまは"消費者"ではなく"暮し手"だと思っているんです」

7月に目黒にオープンした「0から6歳の伝統ブランドaeru」の直営店『aeru meguro』で、代表取締役の矢島里佳さんはそう語る。

ガラス張りで外から中が見えるオープンな雰囲気のそのお店には、職人さんたちの手により丁寧につくられたaeruの商品とともに、ベビーベッドやソファ、本棚が置かれている。誰かのお家に遊びに来たかのような気持ちになって、つい荷物を置いてコートを脱いで、商品を手にとると、そっと"伝え手"がそのモノの物語を丁寧に紡いでくれる。

例えば、「青森県から 津軽塗りの こぼしにくいコップ」。寒い国津軽で、とちの木の素地に何度も漆を塗り重ね、なめらかに研ぎ出すことで美しい模様が生まれます。50以上の工程で約2ヵ月半かけてつくられるのだという。「徳島県から 本藍染の 出産祝いセット」、「愛媛県から 手漉き和紙の ボール」など現在15シリーズあるaeruの商品一つひとつに物語がある。

「私たちは職人さんたちの手から生まれた日本の伝統産業品を、赤ちゃん・子どもたちにお届けすることで、"ホンモノ"に触れる機会を創出し、感性を磨くお手伝いできれば嬉しいです。古き良き先人の知恵、日本の伝統産業、職人さんたちの魅力を伝えるためにこのお店があります。その意味で、私たちはaeru meguroをただのお店ではなく、aeruファミリーのお家と位置づけています。aeruの家族に会いにきていただけるような、親しみやすい、地域に根付いた場所でありたいんです」

実際に、お散歩途中にオムツ替えをしに、ベビーベッドを借りに来るお父さん・お母さんや、犬の散歩の途中にいつも挨拶に来てくれる近所の人もいるという。aeruの商品にまつわる物語を聞いていると、だんだん愛着がわいてくる。けれど、そこに不思議と"買わなくちゃ"というプレッシャーはない。

「私たちは"必要なものを必要なとき"に手にしてほしいと思っているので、無理に押し付けるようなことはしません。店頭に立つスタッフはあくまで"伝え手"なので、販売ノルマはなく、いかに自分の言葉で商品の魅力を伝えるかということに重きを置いています。

モノを買うということはある種、投票行動で、自分が残したいと思うものを購入することで、残していくことが出来ると思います。ぱっとみただけではaeruの商品を高いと思うかもしれないけれど、丁寧につくられ、大切に使えば大人になっても、ずっと使いつづけられるという本当の価値を理解していただけると、むしろ安く感じていただけるようです。だからこそ、私たちは伝えることを一番大切にしています」

「徳島県から 本藍染の 出産祝いセット」一番初めに生れたaeruの商品
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