シングルマザーはなぜ人に頼らない?【前編】養育費を支払っている前夫は5人に1人

2015年01月08日(木) 森山 誉恵
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法律は弱者ではなく強者を守るものになっていないか

先述の養育費の取り決めについてさらに厳しい現実を突きつけるデータがあります。学歴別、収入別に養育費の取り決めを行っているかどうかをみていくと、より細かい現状がわかります。短大や大学卒の場合、半分以上が取り決めをしている一方で、高卒は3割、中卒は2割と低い数値になっています。

また収入別で比較しても、学歴ほどの大きな差ではありませんが、養育費がないと困窮してしまう層ほど、養育費の取り決めがなされていないことがわかります。

ここでお伝えしたいのは単純に学力や学歴の問題ではありません。お伝えしたいのは、学力や学歴も家庭環境や所得に影響しており、結局十分な教育や愛情、環境の下で育たないと、次世代にも引き継がれてしまうという負の連鎖の実態です。

いまや2人で1人の子どもを育てるのも難しく、出産をあきらめてしまう時代です。日本では希望の子ども数よりも今いる子ども数が少ない人の5割以上の人が希望数うむことをあきらめています。その原因の1位は経済的な理由、2位は出産年齢の高齢化、3位は仕事との両立の難しさとなっています。夫婦そろっていたとしても、生計を立てることやワークライフバランスと、出産は両立しづらく、天秤にかけなくてはいけない状況です。

そんな中、母子家庭は母親1人で、仕事と子育てを、養育費などもない状況で両立させようとしているのです。しかも精神的にも経済的にも不安定さがある中で。

養育費については学校などで学んだことがあるという人の方が少ないと思います。なんとなく言葉を聞いたことがあるという程度ではないでしょうか。正しい理解、知識を困る前に学んでおかないと、困ったときの解決策もわからず1人で抱え込んでしまう確率が高いのです。特に困窮していて、時間や経済的に余裕もなく、十分な教育を受けておらず、自己肯定感も低くなっている人にとってはより制度から遠ざかってしまうのです。

アメリカでは貧困層や子どもでも自身の人権を守るためには弁護士が必要という文化が浸透しています。その結果か、アメリカでは全く養育費をもらっていない世帯は全体の2割にすぎません。(2005年米国CPS調査)これは父子家庭もふくめた統計であり、日本の場合、母子家庭だけで6割、父子家庭も含めるとさらにその割合は上がるため、日本ではアメリカの1/3-1/4程度しか養育費を受け取っていないことになります。

人権意識が低く、学校や家庭でも人権やそれらを守る方法について学ばない日本においては、専門機関や弁護士などの利用のハードルはまだまだ高いです。

そういった教育がなされないまま、制度から弱者へのアウトリーチ(歩み寄り)もないと、法律や制度は、「弱い人を守るためのもの」ではなく、「知っている人、強い人を守るもの」でとどまってしまいますし、それが日本の社会保障の現状といえるのではないでしょうか。

後編につづく。

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