田原総一朗×佐々木俊尚
「原発問題を抜きにした復興構想会議なんてナンセンスです」

対談「3・11以降の日本を考える」 Vol.1

田原: 佐々木さんも被災地を取材したばかりですね。どこへいらしたんですか。

佐々木: 先週の水木金(4月20日~22日)に、仙台市、名取市、気仙沼市に。

田原: 気仙沼ね、これがひどいんだ。

佐々木: 名取市長、気仙沼商工会議所会頭、仙台市の幹部スタッフ何人か、15人くらいに取材をしてきました。

田原: どうでした? 実際、現地にいらして、話しを聴いて。

佐々木: やはり現地にいかないと分からないところまで結構取材できたかなと自分では思っています。まず、被災している人たちを支援するボランティアというレベルの話で言うと、ものすごく情報が混乱している。避難所はたくさんあるわけですね。

田原: 2千以上ある。

佐々木: 千人規模のところもあれば、本当に10人とか20人とか、下手すると避難所に認定されていない民家に家族が集まって住んでいたりするところもある。

 そんな中には若い人がいないところもあります。たとえば今これが欲しいとか、被災者のなかにもニーズがあるわけです。そのニーズをちゃんと掬い上げて市町村にあげることが出来ているところと、出来ていないところとの差が激しい。

田原: どういうことですか。

佐々木: 例えば懐中電灯が欲しいとか、生野菜が欲しいとか、あるいはヘドロを掻き出すスコップが足りないとか、そういうニーズがあったとしてもそれを伝えるべきところに伝え切れていない。

 市町村に行くと市町村災害ボランティアセンターみたいのがあって、そこに物資の要求を出来るんです。しかしそこにきちんと連絡が取れているところと取れていないところがあるんですよ。

田原: 避難所によってね。

アマゾンを使いこなせる人が避難所にいるか、いないかで大きく変わる

佐々木: 避難所によっては、みんなの意見をまとめて「これとこれが欲しいから上に上げましょう」という段取りを出来る人がいる場所といない場所があって、そこに分断が起きてしまっている。

 例えばすごくいい取り組みがあって、アマゾンに『ほしい物リスト』というサービスがあるんです。例えば田原さんが、自分の欲しい本に「これが欲しい」とチェックを入れておくと、他の人からもそれは見えるようになっているんですね。

田原: なるほど。

佐々木: 田原さんの誕生日にプレゼントを贈りたいと思っている誰かが、その本をクリックして購入すると、田原さんの家にそれが送られる仕組みなんです。

 それを今回被災地の支援のために使っている。例えば大船渡の消防団が「パソコン何台、スコップがいくつ欲しい」と登録しておくと、全国の人がそれを見て「大船渡の消防団はこれが欲しいのか。義援金代わりこれを買ってあげよう」と、クリックするとそれが送られる。

田原: アマゾンが一つの媒体になるんだ。

佐々木: そうなんです。すごい素晴らしいと思うんです。これが今広範囲に広がっているんですけど、そのアマゾンで『ほしい物リスト』を設定している避難所や施設は数が限られているんですよ。なぜかって言うと、その避難所にアマゾンのウエブサイトを使いこなせる人がいるかいないか、そこの問題なんです。

田原: そうなんですよね。日曜日(4月24日)に僕は石巻へ行ったんですよ。ここは250人くらいであまり大規模じゃない、中学校の体育館でした。

 そこの被災者の方が、「実は今日、初めて弁当が配られたんですよ」とおっしゃる。44日目にして初めて一食分だけ弁当が配られた。

 僕らからすると頭に来るんじゃないかと。ところが有り難がっておられる。そこで「今、政府に何を要求したいですか」って聞いた。「一刻も早く、仮設でいいから住みたい」なんて言葉は、なかなか出てこないんですよ

佐々木: みんな遠慮深い人が多いから、三陸の人とか。

田原: そうなんですよ。

佐々木: みんな芯が強くて、あまり大きい声でものを言わない。そういう人たちですね。

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