前田日明 第1回
「実際にお会いする前から自分はシマジさんのファンでした」

撮影:立木義浩

<店主前曰>

元プロレスラーの前田日明さんとはバーやレストランでなぜかよくお会いする。

以前、西麻布のバー「ウォッカトニック」で、わたしの熱狂的なファンであるタニガワが音頭をとり『毒蛇は急がない』のサイン会が催されたことがある。担当編集者のミツハシも同席し、総勢20名程度のささやかな、いわば身内のサイン会であった。そこへたまたま前田さんが飲みに来て「シマジさん、お久しぶりです」とわざわざ挨拶にこられた。

若者たちはざわめきたって「シマジ先生、前田さんと記念写真を撮りたいんですが、口添えしていただけませんか」とサイン会どころの話ではなくなった。こころの広いわたしは「ああ、いいよ」といって前田さんにその旨をお願いした。巨漢の前田さんはニコニコしながら、若者たち一人ひとりとスマホの記念撮影に応じてくれた。

また少し前、久し振りに広尾のイタリアン・レストラン「アッピア」で食事をしていると、またもや前田さんから声をかけられた。どうやら運命がわたしたちを引き合わせようとしているようだ。

そう直感したわたしが、「よろしければ近いうちに一度、対談をさせていただきたいんですが」とこのネスプレッソ・ブレーク・タイムの話をすると、「喜んで。サロン・ド・シマジ本店にはすげえ葉巻とシングルモルトが仰山あるいうウワサですね。わたしも珍しいシガーをお持ちします。いつでもご連絡ください」と快諾してくださった。

その話をセオにすると、「そのときはぼくに立ち会わせてください!」と隣にいたヒノが願い出た。前田日明はいまもって若者たちのヒーローなのである。

取材日の定刻、192センチ/120キロの巨漢がわが"平成の千利休の茶室"に現れたときの、開口一番のセリフがこれだ。

「立木さん、若いころは立木さんの写真にホントにお世話になりました!」

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