小田嶋隆【第4回】「駄作でも失敗作でもいいから、いつか小説を書いてみようと思っている」
小田嶋隆氏と慎泰俊氏

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作家なのか、食べるための手段なのか

慎: 小田嶋さんとしては、作家なのか食べるための手段として書いているのかということで言うと、どっちにウェイトがあるほうなのでしょうか?

小田嶋: どっちなんだろう。気分としては名前を出すもので恥をかきたくないというのはすごく強いんですが、実態としては多分ギャラが出なかったら書かないですから(笑)。でも、カネのために書いているわけじゃないというのは、自分ですごく思っているんですよ。

実際、カネのために書いているんですが、自分がカネのために書いているんだということがイヤだから、わざわざTwitterやブログをやったりしているんだと思うんですね。お金じゃないところで自分は何かやりたいんだというふうに自分で思いたいんですよ。でも、たとえば宝くじで6億円が当たったりしたら、もう書かないんじゃないかと思いますけどね(笑)。

慎: 生きるための手段という側面もあり、作家としての自己表現という側面もあるわけですね。

最初のほうで「コラムには型があってそんなに難しいものではない」とおっしゃっていましたが、とはいえ、ものを書く人であればあるほど、これは見事だなと思うコラムとそうじゃないコラムを見分けられるようになると思うんですね。自分が今後芸を極めていく上で、ご自身の中で課題として感じてらっしゃることはありますか?

小田嶋: それは、たとえば野球選手だったら三割打つとか優勝するとかあると思うんですが、コラムというのは数値化できないので、そういう意味では目標というものを立てにくいんですね。同じ仕事をずっとやっていると、作業自体が自己目的化するということが必ずあるんで、この辺のことをもっと上手く処理したいな、という思いはあります。

それは、たとえば20年前と今と比べてみると、ある程度は達成しているんだけど、そういうことを達成したことで失われているものもたくさんあるわけで、難しいところですね。昔書いたものを見ると、私の目から見るといろいろ欠点が目立つんだけど、読んでいるほうはそうじゃなくて、ああいう怖い物知らずでガチャガチャ書いていたほうが面白かったよ、という人もいるわけですよ。

原稿を書く仕事ってそういうところがすごくあって、でも、じゃあ今から20代の頃に書いていたようなものを書けるかといえば、やろうとも思わないし、やったところで失敗すると思うんですね。若書きというんですかね。けっこうあり得ないことを言い切っちゃってますからね(笑)。

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