スウェーデンの若者が隣国へ出稼ぎに…北欧〝下克上〟物語

ル・モンド(フランス)より

2015年01月12日(月)

「かつてスウェーデンは我々の憧れの国でした。ウオッカもボルボもイケアもあるんですから」

こう話すのはオスロ大学で文化人類学を教えるトマス・エリクセン教授だ。ノルウェーは、1905年に独立する以前はスウェーデン支配下にあり、長きにわたり強国スウェーデンに圧倒されてきた。

ところが近年、立場が逆転した。ノルウェーに出稼ぎに行くスウェーデンの若者が後を絶たないのだ。統計によると、現在、ノルウェーの就労人口のうち、若年層(17~25歳)の約2割はスウェーデン人が占めている。

両国間の人の行き来は昔から盛んではあったが、かつてと異なるのは、それが若者主体という点だ。ノルウェーで学費を稼ぎ、帰国して勉学に復帰する学生もいるが、最近は半永久的に移住する若者も増えている。

スウェーデンの失業率は8・0%で、25歳以下の人口に限れば23・5%に上る。対するノルウェーは全体で3・7%、25歳以下では7%にすぎない。加えてノルウェーの賃金は、スウェーデンの40~50%割り増しだ。両国の言語はほとんど同じなので、言葉の壁もないに等しい。

ル・モンド(フランス)より

若者のメンタリティーの違いを指摘する声もある。ノルウェーの若者は過保護に育ち、生活費を稼ぐ必要もなく、外食産業でのアルバイトなどしたがらないという。その結果、オスロの飲食店では、ノルウェー人客にスウェーデン人が給仕するという逆転現象が起きている。

背景には、1960年代末に北海で発掘された油田の存在がある。90年代にスウェーデンが深刻な経済危機に陥った際も、ノルウェー経済は石油で潤っていた。エリクセン教授は言う。

「ノルウェーはいまや〝北欧のクウェート〟になったのです」

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