あなたも今日からシャーロック・ホームズ『卒アル写真で将来がわかる』

レビュアー:東 えりか

なんと興味深く、胡散臭い感じがするデータだろう。

本書は、顔かたちや体の大きさ、しぐさ、全体から感じる雰囲気などから他人が感じとる性格や性的魅力、性癖やら繁殖力、果ては未来を占うことはどれほどできるのか、その結果がどれほど正しいかを、膨大なデータを収集して裏付けた本である。

「卒アル写真」という怪しげな言葉はもちろん卒業アルバムに載っている写真のこと。著者のアメリカインディアナ州、デポー大学心理学准教授のマシュー・ハーテンステインは、若いころの写真から将来を予測できるかどうかを調べるため、卒業アルバムを使うことを思いついた。20代から80代までの650名以上の大学時代の卒アル写真を集め、口角の上がり方や随意筋 不随意筋の動きから笑顔の度合いを点数化した。そして、現状で彼らの結婚生活かどうなっているかを尋ねたのだ。

すると、結婚生活が順調の人の笑顔の点数は、離婚した人たちよりも統計的に有意に高いというデータを得ることができた。つまり満面の笑みを浮かべているか、作り笑いか、笑っていないかで離婚が予測できるというのだ。この実験結果は2009年のサイエンス・ジャーナルに発表され大きな話題を読んだ。本書は「人相学」がどれほど科学的に正しいか、人の外面と内面はどれほど関係しているかを、様々な角度から見ていく。

まずは目次を紹介しよう。

"第1章 殺される顔、殺す顔
第2章 排卵日にはゲイがわかる
第3章 卒アル写真で将来はわかる
第4章 ウソをつく奴の顔はここが違う
第5章 話は中身よりも話し方
第6章 顔の細い社長の会社は業績が悪い
第7章 なぜ子供は選挙の当落を当てられるのか"

著者はいう。日々の暮らしは疑問に満ち、我々はいつも何かを選択するために考えている。今夜の食事はどこにする?わが町、我が国のリーダーは誰がいい?デートの相手はどんな人?今度採用した社員は有能か?前からくる人は私に襲いかからないか?配偶者は浮気していないか?それらのことを判断するには、非常に限られたデータである。一瞬の判断、ちょっと見ただけの写真などから、人は驚くほど相手のことを言い当てることができるらしい。

「人相学」「骨相学」は紀元前の昔より存在していた。目の前に座ればピタリと当たる占い師は現代でも列を作るほど人気の商売だ。占い師は何を観ているか、どんなことから将来についてのアドバイスをしているのか。近代までそれは経験値によるものであり、個人の推測や判断力によることが大きかった。その能力には大きな幅があるが、訓練によって向上することもわかってはいた。