【ギャンブル依存症のリアル】(後編)
妻の覚悟が夫を変える! 私たちはギャンブル依存症からどう立ち直ったのか

10月に行われた「カジノ導入とギャンブル依存症対策を考えるシンポジウム」の終了後、司会を務めた初鹿明博氏(左から1人目、現衆議院議員)や仲間たちと懇談する筆者(左から3人目)。(撮影・新田哲史)

夫の定期入れに11枚の消費者金融カードが入っていることが発覚。10年で1,500万近い借金を背負ってきたこと等、前編では、一般社団法人「ギャンブル依存症を考える会」の田中紀子代表の生々しい体験が明かされた。田中さん夫婦はいかにして立ち直ることができたのか。後編は、自身の体験を含めた「家族再生」のストーリーとギャンブル大国である日本が打ち立てるべき対策について語る。

【前編】はこちらをご覧ください。

自助グループに参加して心の重荷をおろす

2004年2月 またしても200万円を超える借金ができたことで、さすがの私も10年に及ぶギャンブルによる借金との闘いに疲れ果て、ただただ毎日夫を罵る日々が続いていました。夫も私も途方にくれ、すがるような想いで心療内科を受診しました。

先生は、私たち夫婦の話を聞き、穏やかにこうおっしゃいました。

「ご主人は、ギャンブル依存症です。そして奥さん、あなたも共依存という病気です。この病気は医者では治りません。ギャンブラー本人とギャンブラーの家族が通う自助グループがあるから、そこに行きなさい。この問題の解決策はそれしかありません」

当時の私は偏見の塊でした。「ギャンブラー」「ギャンブル依存症」という言葉を聞くと即座に、意志が弱い社会的落後者とみなしていました。ですから一流大学を卒業し、IT系の企業で働き、お給料も悪くない夫が「ギャンブル依存症」とは、にわかに信じられず、「先生、ギャンブル依存症は大学出のサラリーマンでもなるのですか?」と質問しました。

すると先生は苦笑しながら「東大を出た官僚でもなります。巻き込まれている奥さんも依存症者と同じ状態ですから、まずは奥さんが回復することです」と諭されました。正直、その時は先生の話を理解できていませんでしたが、これを機に現在まで10年続く自助グループ通いが始まりました。

この時先生が与えてくれた、2つの示唆が依存症問題を解決する鍵となります。一つ目は「自助グループに行くこと」です。ギャンブラーならギャンブラー同士、ギャンブル依存症者の家族なら同様の家族同士が集まって、自分の家で起こっている問題や、自分の感情について分かち合う所です。辛く悲しい気持ちに共感し、けれども希望を忘れず前向きに生きるために仲間同士が支え合っています。そして、新しくやって来る仲間のために、自分たちの経験を伝えていきます。

私たち夫婦も、「今まで大変だったね」といって受け入れてもらい、自分がやってしまったこと、他人や自分を傷つけたことを正直に話しても、責められることなく「わかるよ」と言って貰えた時、ホッと心の重荷をおろすことができました。夫も私も、自助グループに通ううちに、仲間に受け入れられ「ありのままの自分で良いんだ」ということに気付かされていきました。