【第71回】 2015年の世界経済はグローバル化からローカル化へ
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海外投資家は事実上のクリスマス休暇に入り、世界の株式市場では値動きの激しい状況が沈静化すると予想される。筆者は、年初に実施された某メディアの相場アンケートで、今年の日経平均株価の高値を1万7,500円と予想していたので、そこに向けて着地してくれればよいと思っている(原稿執筆時点では、1万7,600円前後)。

米国、欧州、その他の経済圏、の三極化が始まる

ところで、話は、来年に向けての世界経済の展望ということになるが、筆者は、来年の世界経済は、これまでのグローバル化の流れがローカル化の流れへと変わる大きな「転換点」になるのではないかと考えている。

より具体的にいえば、米国を中心とする経済圏と、欧州を中心とする経済圏、そして、その他の経済圏、の三極化の動きが始まる年になるのではないか。この年末に発生した原油等の資源価格の大幅下落は、その予兆であると考える。

とはいえ、第二次世界大戦直前の「ブロック経済」のように、世界経済が完全に分断化されるわけではない。経済圏間での貿易は当然ながら継続するだろうが、リーマンショック前の2003年から2007年にかけてのグローバル化の流れ、そして新興国の台頭というフェーズは終焉に向かって動くのではないかと考える。そして2015年はその出発の年になるのではないか。

リーマンショック前までの「グローバル化」は、ITバブル崩壊と3.11同時多発テロの影響で経済的な低迷にあえぐ米国が、付加価値の低い「モノ」を、思い切って新興国に「アウトソーシング」することによって実現した世界経済の大きな転換点であったと考えられる。

米国の「モノ作り」のアウトソーシングによって急速に台頭したのが中国である。農村部から都市部へ安価な労働力を無限に供給することで安価な製品を製造し、これを廉価で大量に輸出するという「成長モデル」で経済規模を急激に伸ばした。米国や欧州等の先進国は中国に対して資本を提供し、資源国は中国に原材料、燃料を供給、また、NIES、ASEANといった東アジアの周辺国は部品供給基地として「最終組み立て工場」としての中国と綿密なサプライチェーンを構築した。そして、その製品が所得水準の高い先進国の消費者だけではなく、急速に所得水準が上昇し始めた新興国の消費者によっても購入された。

このような「モノ、カネ」の国境を超えた自由な移動によって、先進国、新興国が一体となって高成長を享受したのがリーマンショックまでの世界経済の構図であった(日本も製造業や海外進出に積極的なサービス業の一部はこの流れに乗った)。このようなグローバル経済の構図は「ゴルディロックス・エコノミー(どの国にとってもここちよい状況を意味する)」と言われた。

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この「ゴルディロックス・エコノミー」の構図はリーマンショックによって崩れた。だが、リーマンショックの影響は先進国で特に大きく、新興国は中国の4兆元もの巨額の財政支出の効果もあり、軽微であった。そして、新興国経済が先進国経済と比較して相対的に堅調に推移したことから、リーマンショックは、「先進国から新興国への覇権交代のきっかけ」といったような極端な論調もみられた。

このような新興国の成長神話の持続によって、リーマンショック後に大幅低下した商品市況全般は、間もなく上昇基調に転じ、その後も堅調を維持した。そして欧米の投資銀行の中には、商品市場でのトレーディングを収益の柱とするところも出てきた。

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