起業家たちの原点

THE GUILD深津貴之【第3回】「UIで一番重要なのは、社長と飲み友達になって、ジャイアンの横いるスネ夫的ポジションをとること」

2015年01月05日(月)
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深津貴之氏

オンライン学習サービスschoo WEB-campusとのコラボレーションで世の中に新しい価値を生み出そうと挑戦する「起業家たちの原点」を紐解くインタビュー企画。その第4弾は、「Toy Camera」や「TiltShiftGen」などのアプリなどを開発するUIデザイナー、「THE GUILD」代表の深津貴之さんをお招きしました。

第1回はこちらからご覧ください。
第2回はこちらからご覧ください。

⇒授業の様子はこちらからご覧いただけます。

ヒットの秘訣は球数を打つこと

— 深津さん個人のクリエイターとしてのお仕事についてもお聞きしたいのですが、UIデザインをする時に心がけていることやポリシーはありますか?

深津 専門家やヘビーユーザーのことはいったん忘れて、できるだけ最大公約数の人に向けてものを作っているのですが、その時に「絶対に機能を増やす方向にはもっていかない」ようにしています。むしろ、機能を減らすほうに特化していますね。「ボタンを数回押すだけで人生が幸せになるんだったら、それでオールオーケー」ぐらいの勢いです。「ボタン押したら幸せ」、「ボタン押したらおいしい」、「ボタン押したら楽しい」ぐらいのシンプルさにしたいですね。

— ユーザーとして気に入っているUIはありますか?

深津 最近よく使っているアプリだと「Spotify」がいいですね。起動した瞬間に「もう俺、BGMマシンだから」という感じの割り切り方がすばらしいです。個々の曲を聞かせることを1ミリも考えてないという設計で、音楽をやっている人からすればふざけるなという感じかもしれないですけど、ユーザーから見るとすばらしいと思います。

— 作品をつくるうえで、アイディアを出す時の習慣や、意識していることはありますか?

深津 習慣は特にないですね。意識していることとしては、アイディア出しの際には他人の作品を見ています。例えば、色についての作品があったとしたら、「この人はこういう色でやっているけど、自分だったらこういう方法もできるかもしれない」という風に、気になった点を自分なりの発想で置き換えたりしています。あとは、デザインと関係のない分野から出てきているおもしろいロジックを応用することもあります。例えば、100個ジャムがある店より、6個しかジャムがない店のほうが売り上げが高くなるという「ジャムの理論」の話。そういった話を聞いて、「何か他の仕事に生かせないかな」と思って作り始めるというのはあります。

— すでにあるものを参考にして、そこから深津さん自身はどうするかということを考えていくんですね。写真アプリなどで多くのヒットを飛ばしていますが、そこに深津さん自身の法則などはありますか?

深津 成功の秘訣は球数じゃないですかね? 僕はアイディアが1個できたら100通りの違うアプローチで同じようなものをたくさん作って、一番いけそうなものを出しています。結局、人間の思いつきには過去に見たものや育ってきた環境によって限界があると思うので、あんまり僕は自分の思いつきを信頼していないんです。むしろ、プログラミングやツールを使って全方向から検証するほうが成功しやすいんじゃないかなと思います。

仕事は相手のために徹夜できるかで決める

— 個人、そしてチームとして、いろいろな案件を受けてきたと思いますが、深津さん自身で「仕事を選ぶ基準」があれば教えてください。

深津 いくつかあります。ひとつは会社としてということで、「露出ができる案件かどうか」ということですね。あんまり実績にできない闇仕事みたいなものはちょっとお値段を高くしています。逆に、実績を出していいならディスカウントもします。もうひとつは、UIのコンサルなどでは主に使いにくいものを直すという仕事をしているのですが、そういう時に「普段なら自分は見ることができない業界を見ることができる」という、仕事を受けることによる新鮮さがある仕事を選んでいます。

あともうひとつは、これは広告代理店の方の受け売りなんですけど、「相手のために徹夜をしたいかどうかで決める」という基準があります。このクライアントのためには別に徹夜したくないな、という人との仕事はできるだけ減らしたいですね。

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