THE GUILD深津貴之【第2回】「"ノマド"より"ギルド"。フリーランスのクリエイターが群れたら強くなる仕組みを自分たちで作りたい」
深津貴之氏

オンライン学習サービスschoo WEB-campusとのコラボレーションで世の中に新しい価値を生み出そうと挑戦する「起業家たちの原点」を紐解くインタビュー企画。その第4弾は、「Toy Camera」や「TiltShiftGen」などのアプリなどを開発するUIデザイナー、「THE GUILD」代表の深津貴之さんをお招きしました。

第1回はこちらからご覧ください。
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THE GUILDとは?

— その後、個人の会社としての「Art&Mobile」とは別に、クリエイターたちの集団「THE GUILD」を立ち上げた。個人ではなくチームでやろうと思ったのはなぜですか?

深津 ひとつは「そろそろ個人で戦えるほどiPhoneアプリブームが甘くなくなってきた」という理由があります。DさんとかGさんとかLさんとか、でっかい会社が広告費も開発費もバーンと出すようなことになってきて、個人では太刀打ちできないなと感じていました。それに、iPhoneもそろそろ世に普及したし、クライアントワークをもっと増やしていこうかなと考え出したのがもともとのきっかけですね。

やっぱり個人で受けられる仕事というのはどうしてもスケールが小さくなってしまいますので。自分がフリーランスをしていて感じたのですが、ひとつ仕事を受けて、その仕事が長引いて、しかも表に出ない案件になってしまうと、1年ぐらい世に名前が出なくなってしまうんです。そうすると次の仕事が来なくなってしまったり、1社に囲い込まれてそこからの仕事でしか生きていけなくなってしまいます。そういう問題意識を友だちと話していて、「じゃあ、その問題を解決する組織を作ろうよ」ということでTHE GUILDを作ったんです。

— 具体的にTHE GUILDはどういうチームなんですか? メンバーは今、何人くらいいるんでしょう?

深津 今は15〜16人います。会社としてはとても特殊で、実際にはカメラマンさんや芸能人がいるマネージメントカンパニーに近い形態ですね。「THE GUILD」というブランドの下に小さな会社やフリーランスの人が集まってできています。集団で同盟になっていて、それぞれ個々に独立採算のチームなんですけど、仕事の窓口と実績と、機材や固定費をひとつに集約してスケールメリットを取るようにしたという組織です。

— 面白いですね。例えばどういうメンバーがいるんですか?

深津 今は少し規模も種類も増えましたが、設立当時はiPhoneアプリ制作に限定して集めていました。まず、僕がUIやUXをやっていて、同じくtha lad.の同僚で北田くんという、僕と同じようにデザインと実装が同時にできるタイプのWEBとiOSが両方できる人がひとり。そして、山口さんというフェンリルから独立された方がひとり。あとは安藤剛さんです。「Staccal」という、たぶん日本で一番売れているカレンダーアプリの作者ですね。それと川崎さんという、リクルートのメディアテクノロジーラボから独立された方がひとり。あとは恋塚さんというフリーランスのプログラマーの方です。

フリーランスと会社の強みを掛け合わせた新しい働き方

— フリーランスの方々がTHE GUILDに所属して、チームとして仕事を受けるというスタンスなんでしょうか?

深津 例えば僕がデザインをやって、安藤さんが実装して、川崎さんがサーバーサイドをやった案件などはあります。ただそれぞれの個人活動としての実績をTHE GIULDに集約するという側面もあります。

— THE GUILDに発注されたクライアントワークをメンバーでチームを組んで動かし、個人で手掛けた仕事もTHE GUILDに集約して、実績として残していく…。

深津 例えば、僕が1年ぐらい表に出ない仕事をしていても、他の5人が表に出る仕事をしていれば、そこの人たちでTHE GUILDの実績が担保できますし、仕事も来ます。僕が仕事を受けられなくても彼らが受けられるのです。逆に、腕に自信はあるけどそんなにアピールが得意じゃない方もいるので、そういう場合には僕がブログを書いたり、露出したり、あるいは僕が取ってきた仕事を流したりすることができます。僕1人でやっていたら、一気に仕事が3つ来たら2つを断っていたというところを、その3つを6人でうまく回せる風になりました。いかに生活を安定させるかということで、制作会社よりも自由が利くけどもフリーランスよりも立場が強いんです。

— 会社員とフリーランスのいいとこ取り! 新しい会社、新しい働き方ですね。