マリファナが脳に与える大きなダメージ

文・アビゲイル・サリバン・ムーア
(『The iConnected Parent』著者)

たまに吸引する程度でも脳の構造は変化する

ハーバード大学とノースウェスタン大学の共同研究により、若年成人のマリファナ喫煙者と非喫煙者の脳には差異があることが明らかになった。写真はC-スキャンで撮影されたもので、扁桃体(上) 、側坐核の中の差異を色で現している。黄色い部分はもっとも差が大きく、赤はもっとも小さい。(ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス)

側坐核(※1)とはクルミの形をした脳の快楽中枢だ。その側坐核の灰白質(※2)は、炎のように光り輝いていた。これは密度の著しい増加を現している。

マサチューセッツ総合病院の依存薬物ハーバードセンターに所属するジョディ・ジルマンはパソコンの画面を見ながら「ドラッグへの適応の表れだと考えられます」と意見を述べた。これは脳がマリファナへの曝露に適応し、薬物を求めるための報酬システムの経路が誕生したということなのだろうか。

ジルマン博士は18歳から25歳までのマリファナ喫煙者20名を被験者に、C―スキャンで撮影した結果を検証した。ジルマン博士と、共同研究者であるハーバード大学とノースウエスタン大学の共同研究者は、その撮影結果に驚いた。週に1度のマリファナ喫煙者さえ、脳の2つの部位で構造的な変化がはっきりと確認されたからだ。それは被験者のマリファナ喫煙頻度が増えれば増えるほど、変化は明確だった。

健康な成人がほどほどにマリファナを利用した場合は、さほど危険はないし、吐き気や痛みを軽減するといった医学的な利点も期待できる。

しかし、20代半ばまでの脳が発達段階の若年者が、早い段階から頻繁にマリファナ喫煙をはじめた場合は、常習化や精神上の健康被害に陥りやすいことが、以前から知られている。最近では、既存の研究結果はもはや役立たないとする研究者が多い。研究結果のほとんどが、古い調査データをもとにしており、いまほどマリファナの効果は強力ではなかったからだ。

連邦麻薬取締局が押収したマリファナをサンプルとして調べたところ、精神を活性化させるTHC(テトラヒドロカンナビノール)の含有濃度は、1995年のものだと3.75パーセントだったが、2013年のものでは13パーセントであった。

THC濃度はマリファナの部位と加工によって変化する。コロラド州のボールダーにある嗜好用としてマリファナを扱っている店のフレッシュ・ベークドが販売する「プノンペン」という商品の濃度は8パーセントだが、「グリーン・クラック」という商品は21パーセントもある。さらに「バブル・ハッシュ」という商品にいたっては、濃度は70パーセントだった。電子タバコのようにカートリッジで吸い込むタイプのものは、15パーセントから30パーセントのTHC濃度が一般的だ。

ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌の6月号に掲載された記事によれば、高濃度THCのマリファナ吸引と精神疾患には関連性が認められている。THC報告書の共同著者であり、ナショナル・インスティテュート・オン・ドラック・アビューズの部長でもあるノラ・D・ヴォルコウは、

われわれの緊急治療室に運び込まれてくる、マリファナ喫煙者の数には著しい増加が見られます。それはマリファナ喫煙率の増加だけでは説明できないほどです」と語る。さらに、「最近のマリファナはTHCの濃度が高く、その分、副作用のリスクは高まります。緊急治療患者の数の急増は、そのこと以外では説明できません」。サブスタンス・アビューズ・アンド・メンタル・ヘルス・サービス・アドミニストレーション(薬物乱用および精神疾患取扱局)によると、マリファナが要因で緊急治療室に運び込まれる患者の数は、2004年は6万6000人だったが2011年には12万9000人とおよそ倍増した。

THC濃度が高ければ、それだけ薬物依存の可能性も高まる。「ハイになりたいからといって、強い薬物に手を出すべきではありません」と語るのは、ダートマス医科大学院のアラン・J・ブドニー教授兼研究員だ。「簡単にハイになれる薬物は、それだけ依存症になりやすいということです」。マリファナ喫煙者のうち依存症の割合は、成人の場合は11人に1人だが、13歳から19歳までの若者では6人に1人となる。

(※1)前脳に存在する神経細胞の集団
(※2)神経細胞の細胞体が密集し、神経相互の接合部を形成している部位

知能指数が8ポイント落ちる

懸念すべきはTHC濃度の増加傾向と、マリファナ喫煙習慣の若年層への広がりだ。研究の緊急性は高まっている。