佐藤優さんに質問--「集団的自衛権の行使は公明党が防いだ」という意見に異存はありませんが、一方で創価学会をどこまで信じてよいかという思いもあります

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol051 質疑応答より

【質問】 先日、佐藤さんと佐高信さんの対談本を読みました。佐高さんは以前に創価学会を批判する本を出版されていたので、創価学会の運動に対して共感している佐藤さんとの対談本が出されたことに正直驚きました。そこで逆に私の中で、佐高さんについてもっと知りたいという興味が湧いてきました。『魯迅列読』という本を買って読んでいるところです。

ちなみに私は創価学会に対して肯定的な評価をしていますが、佐高さんの批判されていることの核心について率直に耳を傾けてみたいという動機です。佐藤さんと対談されている方ですから、「話者の誠実性」をもってご発言されているのだろうかと考えているからです。

最近(2~3年の間)の佐高さんの創価学会、公明党に対する評価・宗教観が分かる文献や、佐藤さんの、佐高さんに対する御感想などがありましたら教えてください。

――佐藤さんの回答: 佐高さんが過去2~3年の間に創価学会について集中的に論じた本はありません。ただし、対談や寄稿では随時、創価学会について触れています。最近では、辺見庸さんとの対談『絶望という希望』(金曜日、2014年12月)で触れています。辺見さんの偏狭さと比べると、佐高さんは政治のダイナミズムを現実的に見ています。佐高信さんは、少しシャイで、他者の気持ちが良くわかる優れた知識人です。私は佐高さんを尊敬しています。人間的な尊敬は、政治観、宗教観が異なっても成立します。

【質問】 佐藤先生の創価学会に関する一連のご発言を興味深く感じています。「平和を希求する学会の態度は本物」「自衛隊の海外派遣は公明党の頑張りによって防がれた」という先生のご意見に異存を挟むつもりはありません。しかしながら、その一方で、学会という組織をどこまで信じてよいのかという思いが個人的にはあります。

「敵対的勢力に対する盗聴や尾行、匿名ビラ、匿名出版など学会が謀略的な体質を持っていて、それが社会とのあつれきを生じさせてきたことは歴史的事実です」(「ジャーナリズムの現場から」70ページより)

これは高橋篤史さんというジャーナリストの発言です。目的が本物であれば、多少のことには目をつぶってでもその組織や運動を支持すべきなのでしょうか。先生はどのようにお考えでしょうか。

――佐藤さんの回答: 高橋さんの本を読んでいないので、直接的なコメントをすることはできません。この種のことは創価学会について以前から言われていることです。取材妨害については、個別事案について、具体的状況がつまびらかにならないと、一般論では評価できません。

創価学会と平和主義』(朝日新書)で私が行ったのは、7月1日の閣議決定の結果、集団的自衛権の行使が以前よりも難しくなったという事実(「イスラム国」との関係で自衛隊が派遣されていないことの一点をもってもそのことは十分に証明されている)がどうして起きたかを解明することでした。

そのためには、公明党の支持団体である創価学会の思想に踏み込まなくては、分析ができないというのが私の立場です。この立場の故に、現状分析が間違えていると感じる読者がいるならば、その箇所と、なぜ間違えていると考えるのか、具体的かつ実証的に批判すればいいだけです。

当然、必要があれば、筆者として反論します。このようにして、公共圏で行われる討論は、真理に近づくためにとても重要です。

政治的に特定の政治団体や宗教団体を支持しろと私は読者に呼びかけたことはありません。・・・(以下略)