田村耕太郎【第3回】世界から礼賛されてきた国民皆保険・皆年金システムが日本をより苦しめる
『シンガポール発 最新事情から説く アジア・シフトのすすめ』より
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シンガポール発 最新事情から説く アジア・シフトのすすめ』(PHP新書)第1章 パラダイスの終わりより抜粋

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急速に縮小する経済

この本の構想を膨らませている間に、元岩手県知事の増田寛也氏らが作ったシンクタンク、日本創成会議の公表したデータが日本の地方自治体を揺るがした。それもそのはず、2040年までに全国の地方自治体の約半数が消滅の危機に瀕するというのだ。

私が学生時代に最も手堅い就職先といわれた「地方自治体」が、今後は最も存在が危ぶまれる組織となってしまうということだ。私の知人で、日本大好きのシンガポール人に「東京は世界最高だ。コータローがもつ日本への危機感は共有できない」という人物がいたので、「では四国や中国地方の町を見に行ってみたら? とてもきれいだし、それでいて僕の言っている危機感を共有してもらえるかも」と伝えた。彼はその通り実行し、日本の地方都市を回って180度意見を変えた。

「一言で言うと、日本の未来は恐ろしいと思った。君が言っていた意味がわかった。日本の田舎には、高齢者しかいなかった。とても元気で親切だった。しかし、駅の周りもシャッターが閉まったまま、車も人通りもあまりない。電車もバスも非常に本数が少なく、日本語しかわからない人たちの地域は私にはサバイバルだった。東京とは明らかに違う世界が広がっていた」

私は「あれが東京の未来だ。日本の未来が地方にある。東京もオリンピックが終われば、人口が減り始め高齢化率は上がり続け、今の地方都市のようになっていく」と答えた。日本では「少子高齢化」と一言で言うが、正確には「少子化」と「高齢化」は別物で、セットではない。アメリカやイギリスも高齢化はしているが、人口は増え続けている。日本の場合は、人口減少と高齢化がセットで起こっていることが問題なのだ。

人口減少と高齢化が同時に起こると、経済へのマイナスのインパクトは計り知れない。人口減少で頭数が減るので市場は小さくなり、加えて、高齢化すれば人はモノを買わなくなる。頭数が減って、少ない人口がさらにモノを買わなくなるのだから、消費はダブルで減っていく。一方で負担は増える。2025年の政府予測によれば、2011年に107兆8000億円だった社会保障給付費は、2025年には148兆9000億円に膨らむ。