「政治家は農家の親友を持ってほしい」 行政との交渉4年、農業を続けるために前代未聞の「りんご畑カフェ」を開いた4児の母が語る

大方の予想通り、自民党の勝利に終わった、12月14日の第47回衆議院議員総選挙。安倍政権の経済政策に対する信任は本当に得られたのでしょうか。

日本を真に未来ある国にするためには、地方創生と女性活躍が欠かせません。地方政府は、そして中央政府は何をすればいいのか。

「前代未聞」「無理です」という行政の壁を越えて、嫁ぎ先で農業を続けるために起業した、4児の母の声を、お届けしましょう。公務員家庭で育ち、結婚前は会社員だった彼女は、なぜ、りんご畑の中にカフェを開いたのでしょうか。

この国を本当に立て直すためには、天下国家を論じる「大きな物語」だけでなく、目の前の家族と地域の幸せを真剣に考えるミクロな視点と行動力が必要です。

2ヘクタールのりんご畑の中に建つカフェ

松本直子さん

JR盛岡駅からタクシーで30分弱。「北上川には鮭がのぼってきますよ」と教えてくれる親切な運転手さんとのんびり会話をするうちに、なだらかな丘が見えてきた。斜面にりんご畑が続く。農道を登り切ったところに、コテージのような木造平屋の建物がある。

この「緑の中にあって、邪魔にならない」建物が、松本直子さんのmi cafe(ミカフェ)だ。金曜の15時に着くと、名物のアップルパイはすでに売り切れだった。

暗くならないうちに・・・と建物や周辺の風景を撮影している間に、若いカップルが入店していく。紺のダッフルコートにチェックのシャツ、ベージュのセーター、髪をひとつにまとめて前髪を切りそろえた女の子。男の子は、カールした髪にメガネをかけ、細身のベージュパンツにハイネックのセーター。一方でカフェから出て帰っていくのは、品の良い紳士。鳥打帽、ジャケットとマフラーが緑に映えている。郊外の果物畑のただなかにあって、そういうお客さんが自然に集まってくる。