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朝日新聞はまもなく3度死ぬのか!? 
2014年私の3大ニュースの今後を読む

長谷川 幸洋 プロフィール
1年半以内に景気回復へ、ハードルは高い photo Getty Images

年末を迎え、ことし最後のコラムである。そこで、私の2014年重大ニュースを振り返ってみよう。政治分野では、なんといっても最大のトピックスは抜き打ちの解散総選挙と安倍晋三政権の圧勝だ。

消費税を5%に戻すのがよいが・・・

とはいえ、それで話は終わらない。先週のコラムで指摘したように、実は安倍政権はこれからが正念場である。というのは景気が思わしくない中、どう景気を回復するかといえば、正直言ってこれがなかなか難しいからだ。

安倍首相は解散に当たって2017年4月に消費税を10%に上げると約束した。ということは準備期間を考えると、遅くとも増税1年前の16年春ごろには、景気を回復していなければならない。いまからわずか1年半後である。

そんな短い期間に景気を良くしようと思ったら、経済政策の常識では財政金融政策を発動する以外にない。ところがご承知のように、安倍政権は第1の矢(金融緩和)と第2の矢(機動的な財政政策)として、財政金融政策はとっくに発動済みである。

だから、いま以上に財政金融政策を上積みするとなると、まず余地があまり残っていないうえ、政策効果も限定的になる。それから世間的には「もう十分やったじゃないか」という批判を覚悟しなければならない。

具体的に言えば、金融政策は10月末に追加緩和に踏み切ったばかりだ。すると残るは財政出動だが、いま盛んに報じられているのは3.5兆円程度の補正予算編成である。これで十分かといえば、私はまったく十分とは言えないと思う。

というのは、4月に消費税を3%引き上げた結果、何が起きたか。1%が2.5兆円と考えると、単純計算で7.5兆円の民間所得を国と地方が吸い上げた形になっている。それを3.5兆円程度の補正予算で埋め合わせできるかといえば、足りないのはあきらかではないか。

しかも、よく知られているように、補正の規模というのは事業規模であって、本当の財政支出を伴う部分、いわゆる真水の支出はもっと少ない。となると、4月増税の7.5兆円の所得吸い上げを3.5兆円程度の補正予算で埋め合わせるには、まったく力不足なのだ。

では、どうすべきか。

もっとも経済政策の道理に合っていて即効薬になるのは、4月増税をチャラにする、つまり消費税を5%に戻す政策である。だが、将来の再増税を約束したくらいだから、税率を5%に戻すなどというのは、とても政治的に不可能だろう。だからこそ残された選択肢が少なく、打つ手に乏しい状態なのだ。

そんな中で、試金石は来年4月の賃上げである。安倍政権は総選挙結果が出た翌々日の12月16日、政労使会議を開いて賃上げに向けて「最大限の努力」を促す合意文書をまとめた。賃上げがはかばかしい結果にならないと、その後の政権運営に響くという危機感の表れである。

4月の賃上げで目に見える成果を上げ、その後の夏のボーナス、冬のボーナスに続ける。そして16年春を迎える。そういうシナリオが実現しないと、増税の約束を果たすのが難しくなる。一言で言えば、安倍政権はこれから3回、賃金ハードルを越えなければならない。このハードルはけっして低くない。

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