【沿線革命006】東京駅開業100周年から鉄道の今後100年を考える
阿部等(交通コンサルタント)
東京駅の周辺は高層化されたが、駅だけはまだ低層利用となっている     photo Getty Images

東京駅開業100周年記念Suicaの騒動

東京駅は去る12月20日に開業100周年を迎えたが、ここ数日は「東京駅開業100周年記念Suica」(http://www.jreast.co.jp/press/2014/20140914.pdf)の騒動がニュースを賑わした。

JR東日本は、1枚2,000円にて限定15,000枚を20日8時より東京駅で発売と発表していた。購入希望者が殺到し行列が約9,000人となった7時14分に発売開始し、8,000枚発売の9時40分に安全確保のため発売を打ち切った。

禁止された徹夜の行列をした人は買え当日並んだ人は買えなかった、割り込みが横行していた等の問題があり、買えなかった人達が駅員に詰め寄る大混乱となった。

その後、増刷して希望者全員へ発売に改められ、誰もが入手できることとなった(http://www.jreast.co.jp/aas/20141222suica100_stop2.html/)。

「東京駅には思い出が詰まっている」「東京駅の100周年を皆で祝いたい」といった理由で多くの人が行列までして購入してくれるのは貴重だが、一方で転売目当ての輩も少なくない。

ネットオークションに多数の出品があり、「○万円で転売したが、JR東日本の発表とともに返金しろと言われ困っている。」といった声もある。

2014(平成26)年3月に廃止となった青函トンネルの竜飛海底駅の見学ツアーでも似た事象があった。購入希望者が多く、JR北海道による販売は早々に売り切れ、ネットオークションで高値取り引きされた(http://www.asahi.com/articles/TKY201311020167.html)。

国鉄民営化の精神は利潤追求ではなかったのか

両件とも、需要が膨大にあるのに、発売主であるJRは利潤をあまり得られない一方、転売でうまく儲けた輩が多数生まれ、何より心から買いたいと願っていた多くの人の手に渡らなかった。

利潤追求が活力を生み出すとして民営化されたJR各社が、みすみす利潤を取りこぼす姿におおいなる疑問を感じる。

違法にあるいは社会倫理に反して利潤を追求することは許されない。しかし、竜飛海底駅への停車列車を増やしたりツアー価格を高くすること、記念Suicaの発売枚数を増やすことは、違法でも社会倫理に反することでもない。

「東京駅開業100周年記念Suica」発売をいまだに1人3枚までとする理由が分からない。結婚式の引き出物に使いたい人も多かろう。私は、21年前の結婚式の際、「力を合せて」と書いたオレンジカードをオーダーメイドし引き出物とした。

私は、「沿線革命」を起こす鉄道のサービス改善策を提案する際、鉄道事業者へ「社会的使命に基づき実行すべき。」と迫るつもりはなく、「それにより利潤をどんどん得て下さい。」と勧める。

鉄道事業者が、既存の鉄道インフラを活かし、新たな知恵を投じ、利潤を得ながら鉄道サービスを改善させることを願っている。それが多くの「住みたい街」を創り、社会を良くする。