パン屋とエコノミストの異色の対談~資本主義の終わりと、その先の社会を豊かに生きるために【前編】
水野和夫(エコノミスト)×渡邉格(パン屋タルマーリー店主)

水野和夫氏と渡邉格氏

資本主義は終わりを迎えつつある――。

エコノミストの水野和夫氏は、近著『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書)でそう指摘する。リーマン・ショック以降の『資本論』ブームにはじまり、資本主義批判や脱・資本主義を掲げる声があるなかで、「資本主義の終わり」を明言したこの著書は、昨年3月の刊行以来、20万部を超えるベストセラーとなっている。

では、資本主義が終わりを迎えるとして、その後の社会をどう生きていけばいいのか――。

その手掛かりを示すのが、『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』(講談社)の著者・渡邉格氏だ。人口8,000人の過疎の町、岡山県真庭市勝山で、無肥料・無農薬の自然栽培の作物を、古民家に宿る天然菌で発酵させてパンをつくる「パン屋タルマーリー」を経営、ポスト資本主義時代の暮らし方・働き方実践している。同書は、2013年9月の刊行以来売れ続けるロングセラーだ。

エコノミストが研究を重ねて辿り着いた結論と、パン屋が試行錯誤して編み出した「田舎での仕事と生活のありかた」が、不思議なまでに重なり合う。今という時代を読み解き、これからの時代を生きるヒントを、二人に聞いた。

※この記事は、2014年12月2日に三省堂書店神保町店で行なわれた対談を再構成したものです。
対談の動画はこちらで閲覧が可能です。https://www.youtube.com/watch?v=Dq0uv-zix9A

資本主義の終焉と歴史の危機 水野和夫著
(集英社新書,799円)
資本主義の最終局面にいち早く立つ日本。世界史上、極めて稀な長期にわたるゼロ金利が示すものは、資本を投資しても利潤の出ない資本主義の「死」だ。他の先進国でも日本化は進み、近代を支えてきた資本主義というシステムが音を立てて崩れようとしている。一六世紀以来、世界を規定してきた資本主義というシステムがついに終焉に向かい、混沌をきわめていく「歴史の危機」。世界経済だけでなく、国民国家をも解体させる大転換期に我々は立っている。五〇〇年ぶりのこの大転換期に日本がなすべきことは?異常な利子率の低下という「負の条件」をプラスに転換し、新たなシステムを構築するための画期的な書! 

※Amazonはこちらから

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」 渡邉格著
(講談社,1,729円)
  どうしてこんなに働かされ続けるのか? なぜ給料が上がらないのか? 自分は何になりたいのか?――人生どん底の著者を田舎に導いたのは、天然菌とマルクスだった。「この世に存在するものはすべて腐り土に帰る。なのにお金だけは腐らないのはなぜ?」--150年前、カール・マルクスが「資本論」であきらかにした資本主義の病理は、その後なんら改善されないどころかいまや終わりの始まりが。リーマン・ショック以降、世界経済の不全は、ヨーロッパや日本ほか新興国など地球上を覆い尽くした。「この世界のあらたな仕組み」を、岡山駅から2時間以上、蒜山高原の麓で、築百年超の古民家に棲む天然菌でパンを作るパン職人・渡邉格が実践。パンを武器に日本の辺境から静かな革命「腐る経済」が始まっている。 

              ※Amazonはこちらから