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あぁ金正恩「北朝鮮に神様はいない」餓死と粛清で遺体だらけの廃墟 

やることなすこと愚策ばかり

「華やかなのは市中心部の蒼光通りや栄光通りだけで、東平壌には巨大な貧民窟が広がっていました。真冬だというのに、通りには腐臭が立ちこめている。そして、地区の役場の職員たちが総出で、のたれ死にした遺体の処理をしていた。氷点下20度近い極寒の中、暖房もなく、食糧もなく、ついに首都・平壌まで、廃墟が広がり始めたのです」

こう証言するのは、このほど2年ぶりに平壌を訪れた朝鮮族の中国人実業家だ。「平壌だけは欠かさない」としていた食糧配給も、いまやすっかり途絶えがちだという。

「そもそも金正恩が指導した'09年末の通貨改革の失敗で平壌市民への配給が不可能になり、平壌市の面積を4割削減して、人口を220万から180万に減らしました。それでも配給できなくなったため、今年4月に、さらに市の面積を縮小し、人口を150万に減らした。今回は、ついに100万まで減らそうとしているそうです」

首都・平壌でさえこのような体たらくなので、地方はさらに悲惨な状況が広がっていると推察される。

このような大量の餓死者、凍死者に加えて、粛清の嵐も吹き荒れている。韓国の情報機関である国家情報院幹部が明かす。

「12月12日に、ナンバー2だった叔父の張成沢・党行政部長を処刑して丸1年が経ちましたが、金正恩はいまだに、張成沢に関係のあった幹部の粛清を続けています。その数は2000人とも3000人とも言われます。張成沢の姉の夫である全英鎮・駐キューバ大使一家、兄の息子である張勇哲・駐マレーシア大使一家も、このほど処刑されたことが確認されました。

朝鮮人民軍の幹部に対しても、相変わらず粛清が続いています。12月8日には、李炳哲空軍司令官が失脚したことが確認されました」

そんな「不穏な空気」の中、12月17日に、金正日総書記が死去して3周年を迎える。遺体が眠る錦繡山太陽宮殿では、金正恩第一書記が盛大な追悼式典を主催し、朝鮮労働党と朝鮮人民軍の幹部らを引き連れて出席。偉大な父親の遺訓である「先軍政治」(軍最優先政治)の重要性を、改めて説く。

実際、金正恩は12月に入って、1日に砲兵部隊、4日に軍1313部隊、8日に空軍部隊、13日に海軍潜水艦部隊を視察したことが報道された。秋には左足の足根管症候群の手術を受け、40日間も動静が伝えられなかったが、極寒の中、再び旺盛な視察を開始しているのだ。

「それはシリアとイラクで猛威を振るっているイスラム国という『新たな仲間』を見つけたからです。北朝鮮に兵器の大量注文が来て、金正恩はにわかに目を輝かせているのです」(前出・国家情報院幹部)

だが、すでに党や軍の幹部たちの離反が起こり始めているという。前出の朝鮮族実業家が続ける。

「北朝鮮幹部が酒の席で、声を潜めて『モンウン』という聞き慣れない単語を口にしたのです。確認すると、『マヌケな正恩』の略語で、いま平壌で密かに流行語になっているそうです。これまでは同胞である私に向かってとはいえ、最高指導者の悪口など聞いたことがなかったため驚きでした」

この実業家は、「モンウン」が最近行った次のような〝愚策〟を聞いたという。

〈幽霊スキー場〉

「冬季五輪が開催できる施設を作れ!」との正恩の鶴の一声で、昨年末に3億ドルもかけて、元山市郊外にプロスキーヤー向きの巨大な『馬息嶺スキー場』を完成させた。だが高い入場料を払って難易度の高いスキーを楽しむ国民はおらず、大赤字に泣いた。

すると正恩、今度は「一般庶民も楽しめるスキー場を今年中に作れ!」と指令。両江道三池淵に、10万人以上の朝鮮人民軍を動員してスキー場増設工事が始まった。だが零下20度以下の真冬の突貫工事のため、凍死者が続出している。

〈携帯電話狩り〉

全国で250万台まで広がりを見せている携帯電話だが、北朝鮮製携帯電話は国内通話しかできない。そんな中、正恩は「中国製携帯電話を国境付近に持ち込んで、国家の恥部を中国人に電話で密告する輩がいる」として、中国との国境付近に特殊なアンテナを張り巡らせ、携帯電話の発信源が特定できるようにした。ところがなけなしの国家予算をつぎ込んだこの高価なアンテナは、中国製と北朝鮮製携帯電話の電波の区別がつかず、無用の長物と化している。

〈外国製タバコ禁止令〉

正恩が最近、「幹部の愛国心が足りない」と激昂し、外国製タバコ禁止令を出した。だが自分だけは相変わらず、カルチェのメンソール入りタバコを常に吹かしていて、年長の軍幹部らから顰蹙を買っている。

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