2015年 大特集日本経済の常識が大きく変わる「1ドル=160円」を覚悟せよ会社も景気も生活も、そしてこの国も大変なことに

2014年12月25日(木) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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「黒田東彦総裁率いる日本銀行は大規模な金融緩和をすることで円安↑物価高をもたらし、日本をデフレ社会からインフレ社会に転換しようとしています。しかし、今年4月の消費増税の影響でモノが売れなくなることを懸念したスーパーなどが特売を増やし、物価はデフレ方向に引き戻された。これを再びインフレシフトさせるために、黒田総裁は3度目の金融緩和に踏み切る可能性がある。まさに1ドル=160円というのは、黒田総裁が目指す物価上昇率2%をもたらす為替水準。だから私は来年に日銀が追加緩和に踏み切り、年後半に1ドル=160円になってもおかしくないと思います」

先の衆議院選挙で291議席の圧勝を収めた安倍晋三総理にしても、デフレ脱却を目指すアベノミクスの真価を問うべく解散したのだから、インフレをもたらす円安誘導のためにどんな手でも使ってくる。すでに安倍政権は、大半を日本国債で運用していた国民の年金資金を外国株、外国債券に振り向けることで円安誘導しているが、これをさらに加速させる可能性もある。総額130兆円を超える年金資産を1割でも動かせば、その先にはおのずと1ドル=160円が見えてくる。

日本経済を好景気に導くといわれた円安株高が進んでいるのに、庶民の生活は悪化するばかり。アベノミクスが「異次元」と称されたまさにそのまま、日本経済そのものが異次元の段階に足を踏み入れようとしている。もはや何が起きてもおかしくない。1ドル=160円を覚悟して情報武装したほうが得策だろう。

1ドル=160円で日本はどう変わるのか。

実は円安で儲かると言われる大企業からして安心してはいられない。優勝劣敗が鮮明化し、業界地図が大きく塗り替わると専門家たちは指摘する。

たとえば自動車業界では、「国内生産比率が高く、かつ販売の海外依存が高い富士重工業とマツダが躍進。すでにスバルの株価はホンダを抜いているが、マツダの株価もホンダを超えていくでしょう」(経済ジャーナリストの塚本潔氏)。

トヨタは対米ドルで1円円安になると営業利益が400億円のプラスになるので、1ドル=160円となれば5兆円の営業利益を達成する見込みだが、問題になってくるのが米国自動車業界の対応。トヨタの営業利益が5兆円を超えると、米ゼネラルモーターズやフォードなどは太刀打ちできなくなり、米共和党が日本車の輸入制限を要求する可能性がある。そこで、「トヨタは円安だからといっても極端な値引きによる販売、インセンティブを上乗せして販売量を増やす戦略は取りづらい。一方で日産は逆にそうした戦略に動き始めているとも聞く。今後はトヨタより日産の伸びが大きくなるかもしれない」(東短リサーチ代表の加藤出氏)。

中国人だらけになる

電機業界では、「輸出が少ないソニー、パナソニックに円安の恩恵はほとんどない。ソニーに至っては対米ドルで1円円安に振れると30億円の減益になる」(いちよしアセットマネジメント執行役員の秋野充成氏)。ソニーはすでに赤字体質なので、かなりの苦境に追い込まれる公算が大である。

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