"気軽な選択肢"となる義手から、日本のものづくりを世界へ---exiii株式会社代表・近藤玄大

近藤玄大(こんどう・げんた)
1986年大阪生まれ。2011年東京大学工学系研究科修士課程修了。在学中は筋電義手をはじめとするブレイン・マシン・インターフェイスの研究に従事する。その後、ソニー株式会社にてロボットティクス技術の研究と新規事業創出に携わる。2013年6月より大学時代の先輩とともに業務外で再び筋電義手の開発に取り組み始め、2014年6月に独立。現在はexiii株式会社を設立し、「気軽な選択肢」をコンセプトとした筋電義手handiiiの実用化に向けて開発を進めている。義手を腕時計やスニーカーのように気分や場面に応じて気軽に使い分けられるアイテムに変えようと企んでいる。主な受賞歴は、「日本機械学会三浦賞」「JamesDysonAward2013国際2位」「GUGEN2013大賞」「第18回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞」。

インターネットの普及やテクノロジーの進化は、ものづくりの世界にも変革をもたらしている。

ソニー・パナソニック卒のエンジニア3人で立ち上げた「exiii(イクシー)」が開発する節電義手「handiii(ハンディー)」は、日本から、義手の世界に革命を起こそうとしている。通常150万~1000万ほどの価格帯である義手を、3Dプリンタとスマートフォンを使うことで3万円の材料費で開発。「気軽な選択肢を」をコンセプトに、スタイリッシュなデザインと色使いで、使い手の趣向を映す義手の提供を目指す。

これまでに「JamesDysonAward国際2位」や「Gugenコンテスト大賞」などを受賞し、その技術は世界からも注目を集めている。

handiiiを開発するものづくりユニットexiiiを率いるのが、近藤玄大氏(28)。ソニーでエンジニアとして活躍するなか、趣味でhandiiiの開発を進め、2014年6月に起業に踏み切った。

近藤氏が起業を決意した理由、handiiiにかける想い、ものづくりを通じて描く少し先の未来とは---。

「日本のものづくりは過去の栄光なのか---」。ここ数年、このようなタイトルの記事をよく見かけます。答えはノーだと思います。確かに、僕の前職ソニーをはじめとする大手電機メーカーの業績は芳しくない状況にあるかもしれません。しかし、一人のエンジニアとして昨今のものづくり環境の変化を捉えると、今、ものすごく追い風が吹いているように感じます。そして、この機会を最大化できるのはソニーなどを生んだ日本ではないでしょうか。

「気軽な選択肢」となる義手を

僕は2011年に新卒でソニーに入社し、昨年6月に退職し、二人の仲間とともにexiii株式会社を設立しました。いまは「handiii(ハンディー)」という義手の実用化に向けて開発を進めています。

handiiiは筋電義手と呼ばれる、手を失われた方が残った腕の筋肉の信号を使って直感的に操作できる義手です。「気軽な選択肢」をコンセプトに、お手頃な価格でスタイリッシュな義手を届けることを目指しています。筋電義手の技術自体は戦前から存在し、1960年代には商品化もされています。しかし、50年経った今もなお価格は数百万円と高く、国内での普及率は1%程度に留まっています。この状況に対して、handiiiでは3Dプリンタやスマートフォンを活用することで材料費を3万円程度に抑えました。

また、既存の義手は人肌を再現したデザインがほとんどでした。人肌を精緻に再現した義手が多くの方に喜ばれているのは事実であり、人肌のデザインを否定するつもりはありません。ただ、その装飾工程にはやはり費用がかかります。そのため、handiiiではあえて人肌に似せることはせず、腕時計やスニーカーのようにユーザーの個性を象徴するデザインを安価に展開していこうと考えています。

現在は、年内の実用化を目指して開発を進めています。少しでも良いものを作れるように開発資金をクラウドファンディングで募集していますので、何卒ご支援いただけると幸いです。

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