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「円安批判」は的外れ。財務省利権の「外為特会」を今こそ活用せよ! 

的外れな円安批判報道に要注意

最近、円安を批判する人が増えている。”実質実効為替レート”を使って過去30年で、最も円安水準で、「円の実力が低下している」という報道もある。

この種の報道には気をつけたほうがいい。記事を書いている記者が十分に理解しているとは思えない。”実質実効為替レート”が「円の実力」と思い込み、それが円安で下がっているから問題だろうとの、短絡した問題意識だろう。”実質実効為替レート”とはどういうモノで、それが低下すると何が問題かが書かれていない、単なるイメージ記事だ。

まず、”実質実効為替レート”を説明しよう。為替レートは、特定の2通貨の交換比率である。”実質実効為替レート”は、これに「実効」、「実質」という二つの変更を加えることで計算される。

まず、「実効」であるが、円とドルのように特定の2通貨間ではなく、円とすべての通貨との間の2通貨間の為替レートを貿易額などで計った相対的なウエイトの加重平均をとっている。要するに、すべての通貨との交換比率にするわけだ。

次に、「実質」である。通常の為替レートが、名目値であるのに対して、各国の製品価格の変動を考慮に入れた実質値にする。例えば、日本がデフレであれば、それだけで名目為替レートは円高になるが、デフレで円高になっても”実質実効為替レート”では円高とはみない。

こうした「実効」と「実質」という二つの変更を加えて、”実質実効為替レート”は算出されている。為替レートが持っている、一種の対外競争力を一般的に表しているといえる。貿易関係で、この分析ツールはそれなりに有用である。しかし、日本経済全体を示すにはあまり向かない。

例えば、2000年以降の”実質実効為替レート”と失業率の推移をみると、両者は0.7程度の相関をもっている(下図)。つまり、”実質実効為替レート”で円高になると失業率が高まり、円安になると失業率が低くなる傾向がある。

国の経済力を見るとき、失業が少ない状態は、無駄なく労働力を利用して最大限の効果を発揮している時なので、国の経済力が発揮されているといえる。

こう考えると、”実質実効為替レート”が安いときに、「円の実力」が低下しているというのは、いかがなものだろうか。そうしたときは、失業率が低いので国民としては喜ばしい。むしろ円の価値が低いときの方が国力が最大限に出ているというべきだろう。

こうした事実は、自国通貨安になると、GDPが増大するという事実と整合的である。自国通貨安でGDPが増えるというのは、日本に限らず世界各国で見られる現象である(貿易依存度によって効果が異なる)。それを知っていれば、”実質実効為替レート”の低下が、「国の実力」を低めるとはいえないはずだ。

円安は、GDP増大と失業率低下をもたらすので、「国の実力」を高めるというべきだ。その恩恵は、国の財政にも及ぶ。わかりやすいところでは、円安は法人収益を増加させるので、一般的には法人税収が高まる。

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