ドイツ
伝統的な価値観が瞬間的に復活するドイツのクリスマスと日本のお正月
ドイツ各地でクリスマス市が開催されている 〔PHOTO〕gettyimages

日本のお正月にそっくりなドイツのクリスマス

今年のドイツの冬は暖冬だ。ホワイトクリスマスは望めそうにない。

現在たけなわのシュトゥットガルトのクリスマス市も、白けたような生ぬるさの中で開催されている。普段なら、売り子はごつい防寒服で身を固めていてもまだ寒そうなのに、今年は汗ばんでいるのだから、どう見ても異常事態だ。クリスマスには、キーンと凍てついた空気のほうが、雰囲気としてはよく似合う。

暖かいのはドイツだけでないらしい。12月初旬にロンドンに行ったら、快晴で、何を間違えたか、Tシャツで歩いている元気な人もいた。ヨーロッパの最近のお天気はやはり変だ。

とはいえ、お天気が合うにせよ、合わないにせよ、クリスマスの準備は着々と進む。街は美しく飾られ、プレゼントを物色する人々で大混雑。暗い夜空と、それを彩る満艦飾のライトを目にすると、老いも若きも心がわくわくする。

とくにシュトゥットガルトのクリスマス市は、ドイツ一と言われている美しさだ。毎年見ても見飽きない。今年は、ずいぶんたくさんの日本人の団体客が訪れている。

ドイツのクリスマスは昔からの伝統に基づいた祝日で、日本のお正月にそっくりだ。一年の塵を落とし、家を昔ながらに飾りつけ、もみの木を立て、クリスマスのお菓子やらお料理を作り、1年の反省をし、あちこちにカードを送り、皆にプレゼントを買い、家族で集う。それはまさに、松飾を付け、門松を立て、年賀状を出し、家族が帰省して、ともにおせち料理をいただきながら祝う日本のお正月と瓜二つだ。

類似点はほかにもある。ドイツでは、1年中、教会に行くことなどない人が、この時ばかりは思い立ってクリスマスミサに行ったりする。日本人も同じことをするので、お正月だけは、神社やお寺が超満員。つまり、この2つの国民的行事には、日頃忘れている宗教的な感情や家族の絆やら、故郷への郷愁などを思い出させてくれる効果がある。要するに、伝統的な価値観の瞬間的な復活だ。

一方、それらの伝統を自分で用意するのは「面倒くさい」という理由で、だんだんそれらから離れていく家庭が増えてきたという昨今の傾向もよく似ている。だから、面倒な準備は省略して、しかし、「らしさ」は十分に満喫するため、ホテルで楽ちんに過ごそうという人たちはすでに多い。つまり、この期間中、ホテル代が跳ね上がるところも日独共通。

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