現代ノンフィクション
2014年12月19日(金) 青木理

朝日新聞「慰安婦報道」全真相!
「売国奴」と呼ばれた記者の現在---元朝日新聞記者・植村隆インタビュー (後編)

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青木理著『抵抗の拠点から 朝日新聞「慰安婦報道」の核心』より

【前編】はこちらをご覧ください。

元慰安婦を探して韓国へ

植村氏が語る朝日の大阪本社社会部の雰囲気は、私も通信社の駆け出し記者としてほぼ同時期、大阪社会部に在籍したことがあるから、実感としてよく分かる。

在日コリアンや被差別部落が多い大阪の社会部には、各社とも人権問題や民族問題を主に担当する記者を置いていて、その世界に精通したベテランの記者やデスクが必ずいた。近ごろはめっきり少なくなってしまったらしいが、東京の社会部にだって、大阪ほどではないにせよ、平和や人権問題を担当するデスクや記者はいたものだった。

だが、そうしたデスクや記者は、どちらかといえば社会部の中で傍流というべき存在だった。東京や大阪に限った話ではないが、社会部記者の"花形"といえば、いまもむかしも事件記者である。東京なら警視庁、大阪なら大阪府警に多数のサツ回り記者が配置され、捜査当局の動向などにかんする特ダネを抜きあうために朝回り、夜回りを繰りかえす。

特捜検察をウォッチする検察担当記者も同様だ。彼ら、彼女らが放つ事件がらみの特ダネは紙面を派手に飾ることが多く、優秀と目された記者は警察や検察担当の記者クラブに突っこまれる。畢竟、そうした者たちが肩で風をきって社内を闊歩し、人権や平和問題、市民団体などの動きを地道にフォローする者は圧倒的な少数派となってしまう。人事的な面でも冷遇される傾向が強く、最近は各社の大阪社会部でも平和や人権問題などをフォローする記者が絶滅寸前らしい。

そうした記者、デスクのひとりだった「規さん」こと鈴木規雄氏に、私は会ったことがないのだが、その勇名は大阪でも東京でもいくどとなく耳にした。

1987年5月、兵庫県西宮市の朝日阪神支局が何者かに襲撃され、散弾銃で記者が殺傷された事件をきっかけにはじまった朝日の長期連載企画「『みる・きく・はなす』はいま」を記者、デスク、部長として一貫して手がけた。戦後補償や平和問題の取材にかかわり続け、同じような仕事を志す多くの後輩記者に慕われ、東京本社の社会部長や大阪本社の編集局長などを歴任した。
 

抵抗の拠点から 朝日新聞「慰安婦報道」の核心』
著者= 青木 理
講談社 / 定価1,512円(税込み)

◎内容紹介◎

朝日新聞は誤った。しかし、言論封殺的な一方的バッシング報道一色で慰安婦問題を論じてしまったなら、それは新たな誤りの始まりになりはしまいか。異様な「朝日バッシング」当事者たちの赤裸々な証言。慰安婦報道の「戦犯」と呼ばれた植村隆、市川速水、若宮啓文、本多勝一ら朝日関係者に徹底取材。問題の全真相をルポルタージュし、バッシングの背後に蠢く歴史修正主義を抉り出す。“闘うジャーナリスト”が、右派の跳梁に抗する画期的な一冊!

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