社長は社員のことをきちんと知る必要がある
小山昇『右肩下がりの時代にわが社だけ右肩上がりを達成する方法』【第4回】

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部下が上司に従わないのは、価値観が揃っていないから

武蔵野は、私が社員に対して「右を向け」と命じれば、全社員がピッと右を向きます。
「右はやめて、やっぱり左」と言い直せば、すぐに左に向き直します。ですが、ほかの会社では、そうはいきません。

どうして社員は、社長(幹部)の指示に従わないのでしょうか。

それは、社長と幹部、あるいは、幹部と社員の「価値観が揃っていない」からです。価値観が揃っていると、「同じ優先順位で行動する」ことができるため、急な変化にもすぐに対応できる。だから、「強い」のです。

弱い会社は、上司が部下のことを何も知りません。部下の「氏名」しか知らず、年齢、出身校、家族構成すら知らない。その程度の乏しい情報で、部下を掌握した気になるとしたら、傲慢以外の何ものでもありません。

武蔵野が小さな組織だったころ、私は、全社員の氏名と誕生日、配偶者の名前、結婚記念日などをそらんじていました。要所でお祝いのメッセージを贈ったり、勉強会や社内レクリエーション、飲み会などを積極的に催したりして、泥臭く人間関係を構築しました。

飲み会で部下の話を聞いていれば、「自分とギアが嚙み合う部分」(同じ価値観を持っている部分)が必ず出てくる。そこから話を広げていけば、お互いの共感を重ねていくこともできる。「価値観の共有」は、こうしたアナログ的な作業抜きには達成されません。

現在は従業員数が増えたため、さすがにすべての従業員の情報を覚えているわけではありません。

しかし、それでも組織としての一体感を維持できるのは、「私」と、一般社員を統べる「幹部」の価値観が揃っているからです。

「時間」と「場所」を共有しないかぎり、価値観は揃わない

コップを伏せた状態のまま水を注いでも、水は入りません。コップに水を入れたければ、上向きにしなければなりません。

「全員のコップを上向きにする」=「価値観を揃える」ことが、社員教育です。武蔵野は、すべてのコップが上を向いています。だから、水を入れることができます。