買い控えは3カ月で収まるので、そのときを待つ
小山昇『右肩下がりの時代にわが社だけ右肩上がりを達成する方法』【第3回】

 => 【第2回】「残業時間を減らしても売上を下げないしくみ」はこちらをご覧ください

人間の我慢は、長くは続かない

東日本大震災後、武蔵野の社員も、一時は「自粛」をしましたが、途中で普段どおりに戻しました。宴会もやりました。自粛しすぎると、お金が世の中に回らなくなるからです。わが社の社員がお金を使わないと、本社近くの飲食店の業績も下がることになります。

自粛は感覚的には正しいことですが、経済が麻痺するほどの自粛はしないほうがいい。私はそう思います。

震災後、多くの人は「節約しよう」「買い控えよう」と考えました。ところが、我慢はそうそう長くは続きません。「3ヵ月」が我慢の限界です。

よく「ストレス発散に買い物をする人」がいますが、裏を返すと「買い物をしないと、ストレスが溜まる」ということです。やりたいことができず、欲求を抑えるばかりの毎日では、ストレスが溜まります。目立たなくてストレスを発散できたのがカラオケボックスです。空前絶後の利益を得ました。

人間心理を無視して、経営はできません。社員も、お客さまも、ライバルも、みんな人間です。人間の欲求とはどうなっているのか、どのくらい物事を我慢できるのか、我慢できなくなるとどのような行動を取るのか、人の気持ちを考えないで経営をするのは、無謀です。

毎晩、お酒を飲んでいる人は、消費税率が上がっても、震災があっても、やはりお酒を飲みます。一時的に飲むのを止めたり、飲む本数を減らすことはあっても、3ヵ月も経てば、いままでと同じように飲みはじめる人が多い。

ということは、短期的に消費が落ち込んでも、「3ヵ月経てば、消費は元に戻る」と考えることができます。中小企業にとって大切なことは、消費税増税や震災といったショックのあとに、「3ヵ月、踏ん張ること」です。

では、踏ん張るにはどうしたらいいか。

「現金」を持っておくことです。

「現金」があれば、赤字でも倒産しない

リーマンショックによって倒産した上場企業のうち、じつに3分の2が「黒字倒産」でした。「赤字」だから倒産したのではありません。

黒字でも会社が倒産するのは、現金がないからです。会社が赤字でも、現金が回っていれば、会社は倒産しません。経営は、利益を出すことがいちばんではなく、「お金が回ること」がいちばんです。

私は、「無借金経営はしない」と決めています。借金をしないのではありません。「借金をしないこと」をしない、つまり「積極的に借金をする」ということです。