残業時間を減らしても売上を下げないしくみ
小山昇『右肩下がりの時代にわが社だけ右肩上がりを達成する方法』【第2回】

 => 【第1回】「わが社には、増税の影響を受けないしくみがある」はこちらをご覧ください

残業を減らした部門には、賞与を増やす

武蔵野は、「不要な残業を減らす」方向で業務改善を進めています。

実績のいい中小企業において、これからの課題は、「残業問題」への対策です。

昨今、「ブラック企業」というキーワードがにわかに注目を集めるようになり、私の周辺でも「もしかしたら自社もそうではないか」と不安視する社長がいます。

大企業はすでに対策を取っていますが、中小企業はそこまで手が回らないのが実情です。中小企業は人手が足りないため、社員に負荷がかかっているケースも考えられる。

私は、社員教育と新システムの導入を推進して、残業を減らす努力をしています。社員から、「こういうふうにすると、効率的に仕事ができそうです」と進言されたなら、「よし、やれー!」と許可を出す。「こういうシステムがあると、残業が減ると思います。でも、○○○万円かかります」と言われても、「はい、つくれー!」とオール決裁です。

残業を減らすには、アナログでやっていた作業をデジタル化するなど、しくみを変えなければなりません。

お客さまへの営業や社員教育は、アナログで手間をかけるほうが会社は強くなる。しかし、バックヤードはできるだけIT化して、時間を節約する。

わが社が「iPad mini」を550台投入し、パート・アルバイトに配布しているのも、作業効率を高めるためです。たとえば、「iPad mini」を導入した結果、いままでは2時間半かかっていた棚卸しが、わずか「30秒」で終わるようになりました。

普通の会社は、「その日の仕事は、どんなに時間がかかっても、その日のうちにやれ」と社員に命じますが、武蔵野は「できなかったら、次の日にやれ!」と命じています。残業ができないように、「22時から4時まで」は、社内システムは強制的にダウンしアクセス禁止。「翌日に持ち越してもいいので、22時以降は仕事をしてはいけない」のです。

勤務時間が減れば、当然、業績が下がります。でも「業績が下がってもいいから、時間になったら仕事を止める」のが、わが社のルールです。

ダメな会社は、「能力の高い人」よりも「能力の低い人」のほうが年収が高くなります。
なぜなら、能力の高い人は時間内に仕事を終わらせて家に帰り、能力の低い人は残業をして、残業代をもらうからです。残業しないと仕事が終わらないのは、結局、能力がないということです。

その上、22時を過ぎたら残業代は5割増しになるので、「ちんたら仕事をする社員のほうが、デキる社員よりも年収が高い」という、いびつな状態がまかり通っています。

同じ仕事をして、「定時に帰る人」と「残業する人」がいるなら、定時に帰る人のほうが能力は高い。それなのに、能力の低い人のほうが年収は高いとしたら、能力の高い人がやる気を失います。