ブルーバックス
『「育つ土」を作る家庭菜園の科学』
有機物や堆肥をどう活かすか
木嶋利男=著

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野菜の育ちが変わる!

 家庭菜園で難しいのが土作り。野菜をうまく育てるには、土の由来を知り、土壌微生物の働きを頭に入れ、有機質肥料や堆肥などを上手に使い分ける必要がある。本書では、土作りに関する基礎知識から、コンパニオンプランツや連作・輪作など、土の力を活かす作付け方法まで解説する。


はじめに

 すべての農作物にとって「良い土」はあるのでしょうか。あるいは、「植物」にとっての「良い環境」と、「農作物」にとっての「良い環境」は同じなのでしょうか? 家庭菜園を作っている方にとっては、いずれも興味深い点でしょう。

 その答えは本文に譲りますが、自然環境を観察し、家庭菜園や庭園を見比べるだけで、ある程度答えはわかるのではないでしょうか。どんなによく手入れされた畑であっても、植えられている農作物が気候や土壌などでその場所での生育に適さないものだったら、窮屈そうに生育しているものです。

 作物を育てるうえで、「土作り」は大切です。家庭菜園では、プロの農家と違って、広い農地面積は望めませんから、限られた畑で少量多品目の野菜類を作ります。このため、プロの農家が単品目でおこなう土作りではなく、家庭菜園ならではの土作りが必要になります。たとえば、時間と空間を利用したローテーションや間作、混作があげられます。こうした少量多品目栽培においては、前作や後作との相性、野菜類が利用する肥料成分の違い、栽培の時期などによって、土作りを変えていかなければなりません。

 また、伝承農法では土は作物を育て、作物は土を作るといわれています。現代農法では連作は不可とされますが、伝承農法では連作をおこなったうえで、野菜と土との相互作用を大切にします。家庭菜園には、こうした伝承農法を適用できる場合があります。

 さて、土の中には、たくさんの微生物がいます。土作りを左右するのは、この微生物です。

 土の微生物は地球上のあらゆる有機物を分解しますので、物質の循環にとってなくてはならない存在です。微生物は1種類だけが永久に繁殖することはなく、つねに攪乱と安定を繰り返しながら、物質の循環に伴って遷移します。

 微生物は好みが強く、水分、温度、酸素、酸度などの条件によって、繁殖できる種類が異なります。土は有機物を分解しますので、土の中に有機物を埋めておくと、いずれ有機物は土に還り、作物にとっては養分になります。どんな有機物を埋めるかによっても、土の性質は大きく異なってきます。

 土はたんなる無機体ではありません。それを生命体と考えたとき、宇宙のような限りない世界が広がります。「ふしぎな土の世界」に足を踏み入れてみましょう。

著者 木嶋利男(きじま・としお) 
一九四八年生まれ。農学博士(東京大学)。栃木県農業試験場生物工学部長、自然農法大学校長、(財)環境科学総合研究所長などを経て、現在は伝統農法文化研究所代表、(公財)農業・環境・健康研究所理事。有機農業・伝承農法などの研究・実証を行っている。著書に『伝承農法を活かす家庭菜園の科学』(講談社ブルーバックス)、『農薬に頼らない家庭菜園コンパニオンプランツ』(家の光)など多数。

 
『 「育つ土」を作る家庭菜園の科学 』
有機物や堆肥をどう活かすか

木嶋利男=著

発行年月日: 2014/12/20
ページ数: 224
シリーズ通巻番号: B1895

定価:本体  860円(税別)
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(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)