現代新書

安倍首相で本当に「大丈夫」なのか
『安倍官邸の正体』著者・田崎史郎氏インタビュー

これからの「日本のあり方」を考えるために

フタを開けてみれば、自公連立政権の圧勝に終わった今回の総選挙。自民党と公明党の獲得議席数の合計が、憲法改正の発議に必要な3分の2を上回ったことから、「勝たせ過ぎではないか」「暴走しかねない」と不安を抱いている人も多いかもしれない。はたして私たちの判断は正しかったのだろうか――。そこで今回、12月17日に講談社現代新書から刊行された『安倍官邸の正体』著者で、政治記者歴35年の時事通信社解説委員・田崎史郎氏に話を訊いた。同書で解き明かされた「国家権力の中枢」、そして安倍内閣の「本質」とは。

安倍政権はいつまで続く? ポスト安倍は誰?

――自公あわせて326議席を獲得したわけですが、あらためてその要因をどう分析していますか。

田崎『安倍官邸の正体』では、安倍政権がいかに〝強い政権〟であるかについて、5つの理由を挙げながら分析していますが、そのうちの1つが、まさに今回、自公が圧勝した要因だと見ています。それはつまり、私たちが2008年から2012年にかけて民主党政権を〝見てしまった〟という点に尽きます。

 米軍普天間飛行場の移設問題、東日本大震災時の対応、(公約に掲げていなかったはずの)消費税を二段階で引き上げる法案の成立……というように、あれだけ混乱が続いた民主党政権を思い返すと、自公連立政権に対していろいろ言いたい人も多いだろうけど、現在のほうが明らかに真っ当に見える。民主党に取って代わる野党勢力もなく、野党再編もなかなか進んでいなかった。たしかに自民党単独では微減となりましたが、それに代わる勢力が存在しないことが、今回の結果につながったと見ています。

――12月24日に発足する第3次安倍内閣ですが、田崎さんはズバリ、いつまで続くと見ていますか。

田崎 その前に、今回の選挙結果がもたらす意味について、考えてみたいと思います。

 いちばん大きいのは、安倍政権がさらに強くなって、推進力を得るということ。政権交代を果たした前回(2012年)の解散総選挙は、(民主党の)野田(佳彦)さんが作った土俵の上で行われたわけですよね。しかし今回は、安倍さん自らが時期を選び、自ら土俵を作った上での勝利なのですから、前回の総選挙とは意味が大きく異なります。

 しかも、前回は(当時自民党幹事長だった)石破(茂)さんと一緒に戦ったという意味合いが強かったのですが、今回は安倍さん自らが先頭に立って戦った選挙に勝ったわけですから、同じ勝利でも、やはり前回とは意味が違ってくる。要するに、今回の選挙結果は、二重の意味で〝重い〟ということです。

 安倍政権の今後については、『安倍官邸の正体』の第3章の中で、その不安要素とともに記述しています。一方、「ポスト安倍」については、今のところ軸となるのは石破さんと見ていて、自民党の党則や総裁公選規程などを考慮に入れながら、他の有力候補者の名前も挙げて検討しています。ただ、そうしたことを踏まえつつも、今回の選挙結果を加味すると、安倍政権は任期いっぱいの2018年9月まで確実に続くと私は思います。

安倍官邸の正体
著者= 田崎史郎
講談社現代新書/本体価格800円(税別)

◎内容紹介◎

国や党の方針は、誰がいつ、どこで決めているのか―。安倍政権を批判する人も肯定する人も、まずはその「実態」を知ることが大切だ。これからの「日本のあり方」を考えるべく、国家権力の中枢を解明するとともに、安倍内閣の「本質」、そして2015年以降の政局の行方までを読み解いた、全国民必読の書。はたして、新聞の首相動静にも記されない、日本の行方を決定づける非公式会議に、「隠し廊下」を通って集結していたメンバーとは――。安倍官邸のキーパーソン、「ポスト安倍」は誰なのか? 憲法改正に取り組むタイミングはいつ? 安倍首相が明かした「宿願」とは? そして、戦後日本が誇った「平和国家」は、どこへ向かおうとしているのか―。政治記者歴35年の著者が迫った、「国家権力の頂点」の真実。

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