自民圧勝後の野党は、どう対抗軸を立てれば生き残れるか?

2014年12月15日(月) 高橋 洋一
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自民党の対抗軸はリベラルの結集しかない

政治学の理論でデュベルジェの法則がある。これは経済学のゲーム理論からも、かなり緻密に扱われているもので、一つの選挙区でn人の議員を選ぶという制度の場合、n+1の政党しか長期的には存続し得ないというものだ。

そのロジックは、たとえばn=1の小選挙区制だと、候補者が3人の場合、有権者の支持率が2番目の候補者はちょっとしたきっかけで1番目に勝てるかもしれないが、3番目の候補者の当選確率は、他の2人に比べてがたんと落ちる。

一番手でもなく二番手でもない第三極の政党は、もともと小選挙区制では存続するのは難しい。

もっとも、今の小選挙区制は完全なものではなく、小選挙区比例代表並立制なので、第三極の余地はある。それを踏まえて、政権可能性のある二つ政党以外で、あり得るパターンは、自民党の連立パートナーになる公明党タイプか、比例区狙いの共産党タイプしかない。

新しくできた政党の場合には現実は厳しい。この20年間で20以上の政党が誕生してきたが、そのうち衆参に議席があり、衆院任期の4年以上存続している政党は民主党しかない。要するに、比例狙いで細々と生きるのでなければ、民主党や維新の党など野党は、集結して自民党へ対抗軸になるか、または対抗軸にならずに自民党との連立を目指すしか、基本的には存続の可能性は少ないといわざるを得ない。

自民党の対抗軸としては、野党としてリベラルの結集がもっとも素直だ。もし保守系スタンスであれば、自民党との連立を目指したほうがいい。民主党にはこの路線しかない。この意味で、維新の党は、正念場になっている。保守系スタンスなのかリベラルで行くのかの決断が迫られる。

リベラルでは、労働者をコアな支持層とし、所得再分配について政府の介入度を高める方向となる。今の自民党との差別化でいえば、金融政策を重要視して日銀法改正でインフレ目標と雇用義務を加えること、歳入庁を創設し税・社会保険料を一体徴収し、不公平をなくし所得累進課税を強化する方向がいい。

所得再分配の強弱は、最高の累進課税税率の高低や資産課税の取り組みでみてもいい。自由貿易、規制緩和では、労働者の権利保護に配慮して、自由化一辺倒でない是々非々路線になる。エネルギー政策では、労働者の立場から、脱原発の方向で再稼働には慎重スタンス。外交防衛では、安全保障コストを下げるために集団的自衛権を限定容認しつつも、行使には何重もの条件を付して平和主義を追求するのもいいだろう。

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