「増税派駆逐」の解散がクライマックスだった。
ハラハラなき総選挙のわずかな見どころは?

つまらない選挙!?                                                                         photo Getty Images

12月14日の総選挙・投開票日が近づいてきた。にもかかわらず、選挙ムードは一向に盛り上がってこない。

最近、会食したベテラン編集者は「民主党の海江田万里代表や枝野幸男幹事長が落選するかどうか、無所属になった渡辺喜美元みんなの党代表はどうなるか、くらいですよね、興味があるのは」と言い放った。

自民党が何と言おうと、数字が取れればテレビは扱う

国民の関心も大方、そのあたりではないか。それが証拠に、いつもなら大々的に当落予想を載せる週刊誌も『週刊現代』12月20日号が「全295選挙区 これが最終『当落』予測だ 自民が圧勝、史上最多議席へ」という特集を組んではいるものの、トップ記事ではなく2番手の扱いだった。

投開票日直前の当落予想が2番手扱い、というのは私が知る限り、前代未聞である。ちなみにトップ記事は「株価2万円に備えよ 全国民必読 株をやる人も、やらない人も」だった。総選挙より関心は株価なのだ。

テレビ報道もめっきり少ない。朝日新聞は12月10日付け朝刊1面で総選挙に関するテレビ報道が激減している事情を報じたうえで、その理由について「自民党がテレビ各局に文書で『公平』な報道を求めたことで、放送に慎重になっている面もある」などと指摘している。

だが、政党が選挙で公平な報道を求めるのは、べつに異例ではない。そんなことより、なんと言っても有権者の関心が低いのが一番の理由だろう。選挙報道で高い視聴率がとれるなら、自民党が何を言おうと、テレビはもちろん扱う。面白くないから報じないだけだ。

番組が総選挙の話題を流し始めると、とたんに視聴率が下がる、という報道もあった。『週刊現代』が当落予想を2番手扱いにしたのも、トップにしたって雑誌は売れないからだ。話が面白くないから、トップにならない。それだけである。

なぜ総選挙が面白くないか。答えが分かっているからだ。各紙は序盤戦から「自民、公明の与党で300議席超」などと一斉に伝えた。終盤戦を迎えても、共同通信や東京新聞が10日付けで、朝日新聞は11日付で同じく与党圧勝の見通しを報じている。

国民を「えーっ!?」と思わせたのは最初の「与党が300議席超」までで、以後はハラハラ・ドキドキ感が失われてしまった。「戦う前から、すっかり興ざめ」という選挙はちょっと思い出せないくらいである。

2009年総選挙は自民党から民主党への政権交代というドラマがあった。次の12年総選挙は逆に自民党への政権交代だった。第3極の躍進もあった。今回は政権交代どころか第3極もばらばらで、与党勝利で安倍晋三政権の継続という結果が確実である。

ハラハラ・ドキドキ感は「何が起きるか分からない」「これから大転換が始まる」という期待感があって初めて生じる。それがなくて、政権続行と分かっているのだから、面白くなるわけがない。