チリのサッカー界と中東問題の意外な関係

ル・モンド(フランス)より

2014年12月15日(月)
問題となったユニフォーム〔PHOTO〕gettyimages

イスラエル・パレスチナ問題が、遠く離れたチリのサッカー界でも波紋を呼んでいる。

チリは、アラブ世界を除いて、世界で最も多くパレスチナ人が暮らす国だ。現在、少なくとも35万人以上が住んでおり、そのほとんどが20世紀以降に移住してきたという。移ってきた彼らの多くがキリスト教徒だったため、キリスト教国であるチリ社会になじみやすかったともいわれる。現在では、国会の議席の10%をパレスチナ移民の子孫が占めるほどだ。

そんな彼らが誇りにしているプロのサッカークラブがある。「CDパレスチーノ」だ。パレスチナの名を掲げるクラブは世界中にあるが、国の1部リーグで存在感を示しているのは、ここだけだからだ。1920年に創設され、国内リーグで優勝したこともある。

ル・モンド(フランス)より

だがこのクラブが今、騒動を起こしている。選手たちが、背番号の「1」という数字の代わりに、長細いパレスチナ自治区をかたどったユニフォームを着て、試合をしたからである。このユニフォームは、チリのユダヤ人の強い反感を買い、「CDパレスチーノがスポーツを政治の道具に使い、チリ社会に中東紛争を持ち込んだ」と、激しい非難の声が挙がった。

これを受け、チリのサッカー協会は、問題のユニフォームの着用を禁止して、1万5000ドル(約170万円)の罰金をクラブに科した。しかし選手たちは反発しており、沈静化する様子はない。今は腕にパレスチナの地形の入れ墨をして、ピッチに立つ者もいる。パレスチナ人の代表としての思いがあるからだ。

「我々の勝利のひとつひとつが、チリのパレスチナ人に喜びをもたらします。今の中東問題が、我々のルーツとの絆をより強固にしたのです」

COURRiER Japon
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