受動喫煙防止へ検討会発足
20年五輪に向け条例化を模索 一律規制には異論噴出[東京都]

2020年東京五輪・パラリンピックを見据え、東京都の舛添要一知事が受動喫煙対策を進める方針を打ち出し、都は今秋、有識者による検討会を発足させて新たなルール作りに向けて動き始めた。だが、都議会最大会派の自民党が一律の規制強化には異論を唱えている。検討会の委員には規制に慎重な立場の有識者も加わり、結論までには曲折がありそうだ。

「五輪・パラリンピックはスポーツの祭典で、いろいろな目的がありますが、やはり全世界の人々の健康の増進ということも大きな目標の一つであると思います。喫煙の害というものは、もうこれは科学的にも証明されていて、全力を挙げてWHO(世界保健機構)もIOC(国際オリンピック委員会)も取り組んでいる」。舛添知事は8月22日の定例記者会見で、受動喫煙防止に向けた取り組みを進める姿勢を強調。「条例制定も十分考え得る一つの選択肢」と踏み込んだ。

東京都は、04年に「受動喫煙防止ガイドライン」を制定し、公共の場所では「原則として禁煙」としている。その一方、施設の種類や利用者のニーズに応じて喫煙可能区域の設定も認めている。あくまでガイドラインであるため強制力はない。

アテネ五輪(04年)以降の五輪開催都市では、夏季・冬季を問わず、いずれも受動喫煙防止に関して罰則付きの法令が設けられ、飲食店などでの禁煙の徹底が図られている。日本循環器学会など20学会でつくる「禁煙推進学術ネットワーク」も今年7月、飲食店などでの全面禁煙を定めた受動喫煙防止条例制定を求める要望書を都に提出している。

国が全面禁煙の法制化に踏み切れないでいる中、自治体が独自の条例で受動喫煙を防止するために規制しようという試みは、各地で模索されている。しかし、各種業界団体などの反発や、そうした団体から支援を受けている地方議員の抵抗を受け、自治体側が具体的な規制のレベルで妥協してきた経緯がある。

厚生労働省が10年2月に公共的な空間での原則全面禁煙を通知した2カ月後、神奈川県が全国で初めて、民間も含め屋内施設での喫煙を規制する受動喫煙防止条例をスタートさせた。学校や病院など「第1種施設」は禁煙、大規模な宿泊施設や飲食店など「第2種施設」は施設側が禁煙か分煙かを選び、入り口に表示を義務付けた。禁煙区域で吸った人は過料2000円、規制措置を怠った施設管理者は同2万円が科される(第2種施設への適用は11年4月以降)。ただし、小規模な飲食店やパチンコ店などの「特例第2種施設」では規制は努力義務にとどめられた。

兵庫県でも13年4月、全国2例目となる受動喫煙防止条例が施行した。だが、素案段階では、公共性が高いと判断した飲食店などでも全面禁煙を求めるなど神奈川県より厳しい内容だったが、業界団体などの反発で大きく後退、民間施設では分煙を認める内容となった。

東京都議会の与党会派の有力者には、いまだに喫煙者も少なくない。条例制定にまで言及した舛添知事の発言直後から、都庁内には「どこまでリーダーシップを発揮できるのか」(幹部)と実現には疑問視する声も出ていたが、早くも知事が「守勢」に回った感は否めない。