教授や友人と食事を共にし、社交性と教養を磨く「フォーマルディナー」の魅力
筆者河上彩英
河上彩英
1995年生まれ。ケンブリッジ大学法学部2年生。契約法、土地法、国際公法、家族法と行政法を専攻中。ニューナムカレッジに所属。2014-15年度の日英会副会長と十色会書記を務める。パリでの滞在経験があり、英語と仏語を習得。高校ではチェンバーオーケストラに所属し、クリスマスのチャリティーコンサートでバイオリンを演奏。また、中国語で三年間最優秀賞を連続受賞。水泳、バレエ、バトントワリングなどを通して、自分のエネルギーを外へ発信する。
大久保郁子
1991年生まれ。ケンブリッジ大学音楽教育学部専攻、同大学院教育心理学修士課程を修了。ホマトンカレッジに所属。修士論文では日英の大学生の比較を通して、環境が個人の社会的アイデンティティに与える影響についての研究を行った。2012-13年度の日英会(AJS)会長。趣味はカメラとバスケットボールとバイオリン。大学の公式交響楽団に3年間所属し、カルテット活動(ラヴェルの弦楽四重奏)にも励んだ。
 

フォーマルディナーとは

フォーマルディナーとは、各カレッジのダイニングホールで行われるオックスブリッジ特有の晩餐会のこと。教授や友人と食事を共にし、話をすることで、学生の社交性と教養が磨かれることにつながるという目的から始まり、伝統として今に受け継がれている。

カレッジの創立者や代々の学長の肖像画が掛かった、薄明りや蝋燭の灯るダイニングホールが場所となり(写真1)、週に数回開催されるカレッジや毎日行われるカレッジと、各カレッジによって開催の頻度が異なる。同じ大学なのに、フォーマルホールの雰囲気も食事内容もカレッジによって違うので、様々なフォーマル文化を体験できる。そのため、フォーマルディナーに来ている人は必ずしもそのカレッジの人たちとは限らない。

(写真1)トリニティカレッジのフォーマルホール

今回は、フォーマルディナーの魅力を皆さんにお伝えしたいと思う。

フォーマルホールに入るまで

フォーマルディナーに参加するためには、事前予約が必要となる。何人分でも予約できるカレッジもあれば、キングズカレッジのようにカレッジ生しか入れないカレッジもある。大体の場合は、友だちの輪を活用し、行きたいカレッジの学生にお願いしてフォーマルのチケットを取ってもらう。チケットの値段はカレッジによって異なるが、大体一人10ポンド前後(約1800円)だ。また、育った文化によって食事内容に制限がある生徒も多いので、予約する際にメニューを選ぶことができる。例えば、肉も魚も食べないベジタリアン、肉は食べないが魚は食べるペスキタリアンなど、幅広い選択肢がある。当日のメニューをウェブサイトで確認することができるカレッジもあれば、当日フォーマルホールに入るまでメニューが分からないサプライズ式のカレッジもある。

ドレスコードは略礼服で、男性はスーツ、女性はドレスを着用することになっている。また、カレッジに所属する学生はアカデミックガウンを羽織るのが一般的だが(写真2 )、ガウンの装着を必要ないカレッジもある。このアカデミックガウンは卒業式でも使用するもので、カレッジによって色やデザインが違う。シンプルで真っ黒なガウンもあれば、濃い紺色でベルベットが付いているガウンなど、様々だ。そして、自分のカレッジガウンを着ることで、自分のカレッジへの愛着がわき、カレッジの一員としてのアイデンティティ形成につながる。

(写真2)アカデミックガウン:ニューナムカレッジ 

フォーマルホールに入る前には、「プレドリンク」として別室でワインを飲み、そこで友人と挨拶をしたりする。カレッジによっては自分たちで好きなワインを持ち込むことができる場合もあるが、大体は、カレッジで用意しているワインを飲む。

そして、開始時間前には、全員がホールの前で集まり、ドアの向こうでこれから始まるフォーマルディナーへの期待に胸を膨らます。