増税先送りの弊害を軽視し過ぎではないか?
イングランド銀行が日本国債に「ダメ出し」


イングランド中央銀行の判断が欧州中に広がる可能性は否定できない   photo Getty Images

「日本は楽観的過ぎる。消費増税先送りがボディブローのように財政的な信認を損なうのは確実だ」――。

中国や韓国より日本国債は危ない!?

先週半ば、日本経済の先行きに関して、米系証券会社の日本法人を身構えさせるネガティブ情報が欧州拠点からもたらされた。

日本の国債について、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスの格下げを受け、イングランド銀行のPrudential Regulation Authority(PRA、健全性監督機構)がリスクフリーを意味する「流動性資産」から外す方針を固めたという情報が飛び込んだのだ。

国内の世論や市場は、消費増税の先送りに伴い財政再建が遅れるリスクが高まったと指摘して、日本の国債を中国や韓国の国債より格下としたムーディーズの判断を過小評価するムードが強い。しかし、PRAの判断には、欧州の金融規制当局が今後、広く追随する可能性がある。そうなれば、欧州でビジネスを展開する金融機関がこれまでほど日本国債を保有できなくなる。

衆議院の総選挙を戦っている野党各党もほとんどこの問題を重視しているようには見えないが、消費増税の先送りを選挙に勝つための道具に使った政府、連立与党の判断は正しかったと言えるだろうか。歴史的な審判の日の到来を避けるには、財政再建努力をこれまで以上に精力的かつ着実に続けていく必要があるように思えてならない。

事の発端は、先週月曜日(今月1日)に、ムーディーズが発表した日本国債の格下げだ。同社は、日本国債の格付けを従来より1段引き下げて、最上位から数えて5番目にあたる「A1」にした。

これは米国、ドイツ、英国などの主要先進国やオイルダラーに支えられるクウェート、カタールなどの産油国はもちろん、アジアの中国、韓国、台湾などを下回る位置づけだ。“中国バブル”崩壊に悩む中国や、急激なウォン高に苦しむのが確実な韓国よりも、国際金融市場においてリスクの高い借り手と宣告されたのである。