[NBA]
杉浦大介「ブルックリンの光は消えるのか」

~移転3年目にして停滞、ネッツの未来~
スポーツコミュニケーションズ

求められる大掛かりな変革

原型メンバーのままで大きな向上の余地があるとすれば、眠れるビッグマン、ブルック・ロペスが完全開花したときか。Photo By Gemini Keez

 そのために……原型チームの解体を、ここで考え始めるのも悪くはないように思える。ウィリアムス、ジョンソン、ロペスといった選手たちは、フランチャイズの大黒柱には物足りなくとも、即座に優勝を狙うチームを何らかの形で助けることはできる。それぞれの高給を考慮しても、移籍マーケットに出れば少なからず興味は持たれるだろう。

 彼らとの交換で若き好素材を獲得し、ドラフト指名権を取り戻せば、近未来への布石となる。今から手を打ち始めれば、NBAの新テレビ契約のおかげでサラリーキャップが拡大する2016-17シーズンには再びの大補強が可能になる。実際に獲得できる可能性がどれだけあるかは別にして、2016年夏にFAになるケビン・デュラント(オクラホマシティ・サンダー)の受け入れ準備も整うはずだ。

 このような大掛かりな変革を実行すれば、これまでのチーム作りは失敗だったと認めることになる。負けず嫌いなロシア人オーナーにとっては屈辱的だろうし、今季中のプレーオフ進出も微妙になるかもしれない。

 ただ、現在のネッツは英語でいう「irrelevant(重要ではない、取るに足らない)」なフランチャイズになる手前にいる。だとすれば、何らかの方向転換は必須である。昨今のリーグで問題視される露骨な“タンキング”(ドラフト上位指名権を狙って意図的に下位に沈むこと)ではなく、あくまで当面の勝利を目指しつつ、少しずつ力を蓄える地道なやり方で、改めてチームづくりを進めるべきではないか。

 大枚を叩く方法で一気にエリート入りを狙った新球団のプランは、残念ながら功を奏さなかった。せっかちなニューヨークにおいて“致命的な出遅れ”とならないために、少し違った方向に進む必要がある。逆に言えば、それができなければ、ブルックリンに久々に灯った希望の光は風前の灯となってしまいかねない。その危機を避ける機転と度量が首脳陣にあるかどうか。

 1957年にドジャースが去って以降、一部のブルックリナイトは新たな“マイ・チーム”を手にする日を待ち続けていた。そんな彼らを誇らしい気持ちにさせられるかどうかは、ここから先のネッツのリカバリー次第である。

杉浦大介(すぎうら だいすけ)プロフィール>
東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、NFL、ボクシングを 中心に精力的に取材活動を行う。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボールマガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞』など多数の 媒体に記事、コラムを寄稿している。著書に『MLBに挑んだ7人のサムライ』(サンクチュアリ出版)『日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価』(KKベストセラーズ)。
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