[NBA]
杉浦大介「ブルックリンの光は消えるのか」

~移転3年目にして停滞、ネッツの未来~
スポーツコミュニケーションズ

“ファッション”以上の魅力を

 もっとも、その一方で、悪い面ばかりではない。ニュージャージー時代と比べて、ビジネス面の数字は伸びてはいる。ニュージャージーでの最後のシーズンとなった11-12シーズンはチケット収入はリーグ27位だったのが、昨季は5位。11-12シーズンには最下位だったグッズ売り上げも昨季は7位だった。リーグ屈指の不人気チームだったニュージャージー時代と比べれば売り上げが伸びるのは当然とはいえ、マンハッタン在住の筆者の目にも、最近はネッツグッズをまとった若者が格段に増えたように思える。

チーム側の努力も虚しく、ネッツの試合中はアリーナが静かなことが多い。Photo By Gemini Keez

 ただ、残念なのは、ネッツの存在はいわば“ファッション”に止まってしまっていることである。黒を基調としたお洒落なグッズは人気だが、それは元小規模オーナーだったラッパーのJay-Zの人気にもあやかったチームのファッション性に惹かれてのもの。バークレイズセンターを訪れるファンの大部分が“熱狂的”と呼ぶにはほど遠く、ゲーム中は静まり返っている時間帯が多い。

 そして、チームが停滞するうちに“ハネムーン期間”は終了。新鮮味が乏しくなると、期待に応えきれなかったネッツへの注目度は薄れてしまった。今季は平均観客動員数で30チーム中20位にとどまり、今では地元紙などでもネッツ関連の記事は隅に追いやられる有様となっている。

 この2年強の間に、ネッツに熱狂的なファンは生み出せなかった。ニューヨーク市内で真の意味での呼び物となるには、時間と実績が不可欠。移り気なニューヨーカーを惹きつけるために、ファッション性だけでなく、ファンを心底から熱狂させる強くて魅力的なロースターが必要になってくる。

 そんなチームになるために、ネッツは今後、どこに向かうべきなのだろう? デロン・ウィリアムス、ブルック・ロペス、ジョー・ジョンソンの“ビッグスリー”を主体とした現在のロースターでも、プレーオフ進出は可能ではある。

「ライオネル・ホリンズHCのシステムに選手たちも徐々に慣れていくはず。そうなれば、ブルックリンは怪物的チームになるよ」
 12月3日にネッツに敗れたサンアントニオ・スパーズのグレッグ・ポポビッチHCはそう語り、ネッツのポテンシャルを認めていた。

 ただ、そうは言っても、現在のメンバーでは過去2年同様、プレーオフ第2ラウンド以上に進むのは難しいのではないか。ニューヨーカーを惹きつけるために必要なのは、中途半端な成功ではない。プレーオフの大舞台でドラマチックな勝利を挙げ、彼らを興奮、歓喜させなければいけない。