[野球]
上田哲之「2014年、日本野球の10大事件」

<生れきて十八年のわれのこの淸きほこりを高くかかぐる  田部君子>
 最近、お気に入りの歌である(池内紀さんの新著『戦争よりも本がいい』講談社「田部君子歌集」の項より孫引き)。これが、1933年(昭和8年)、当時、満17歳の女性歌人の作と聞いて、二度驚く。なんというか、まっすぐで心地よい。

 今年、ドラフトで指名されたすべての高校生に送りたい。いや、この際、18歳にこだわる必要はあるまい。大学、社会人出身を含め、すべての新人に送りたい。指名された選手には、誰にも、これまで築き上げてきた自分のプレースタイルというものがあるはずだ。それを、「淸きほこり」として「高くかか」げて、成長してほしいと思うからだ。

 ドラフトを振り返ってみると、個人的には北海道日本ハムの指名が好きだ。有原航平(早稲田大)をクジで引き当てたから、という理由ではない。むしろ2位以下に親近感を覚える。2位は清水優心(九州国際大付高)。強打の捕手だけれども、夏の甲子園では東海大四高の西嶋亮太が、あの天まで届くような超山なりのスローボールを放った相手打者として印象深い。そのあとに、いい当たりのヒットを打った。

 3位は淺間大基(横浜高)。1年の時から横浜のレギュラーを張って注目された。これを言うと、そんなオーバーな、と苦笑されるかもしれないが、ちょっとイチローっぽい。少なくとも印象としては、僕はどんなボールでも打てますよ、というツンとした自信を感じさせる。当然、ドラフト1位候補かと思っていたが、プロのスカウトさんたちとは、どうも感覚が違うらしい(この2位と3位の順位も、本来なら逆ではないだろうか)。

 それから4位の石川直也(山形中央高)。今年の夏の甲子園で見た投手の中では、彼に一番将来性を感じたのだが……。筋のいいストレートを投げていた。

 もちろん、彼らが大成するか否かは、プロ入り後の努力にかかっている。「淸きほこり」を大事にしてほしいものだ。