日本の野球が「WANTS(娯楽)」を超えて、
「NEEDS(文化)」になるには

2014年、「野球で、人を救おう。」をスローガンに、プロ野球選手・ファン参加型の社会貢献活動を展開する「NPO法人ベー スボール・レジェンド・ファウンデーション(BLF)」が発足。社会事業がまだ発展途上にある日本において、はたしてスポーツの力は世の中を変えることができるのか? スポーツ界のさまざまな社会貢献活動の事例を紹介しながら、同団体の挑戦と奮闘を代表である著者が綴ります。

前回は、2013年4月に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件に際して、ボストンを本拠地とするメジャーリーグ球団レッドソックスが、事件の被害者や遺族を物理的にサポートし、ワールドチャンピオンになって精神的な面でも街の人々の支えになったことについてお話しました。

私がもっとも驚いたのは、球団の動きの迅速さです。テロ発生から試合再開までの5日間に、チームはチャリティーグッズを販売できるよう準備を進め、壮大な追悼セレモニーの段取りまで行いました。

このように迅速に対応できた背景には、「レッドソックス・ファウンデーション」の10年間にわたる歩みがありました。

これは、私がベースボール・レジェンド・ファウンデーションを立ち上げる際の大きなヒントになっています。

レッドソックス・ファウンデーションとは

ジミー・ファンドの活動に参加する、レッドソックス時代のサルタラマッキア捕手 photo BOSTON RED SOX

レッドソックス・ファウンデーションが設立されたのは今から10年ほど前のことですが、それ以前からレッドソックスはチャリティー活動に積極的な球団で、「ジミー・ファンド」という小児ガン基金とのコラボレーションは60年以上前から続いているそうです。

レッドソックス・ファウンデーションの支援活動には、5つの柱があります。

もっとも有名なのが、そのジミー・ファンドです。

毎年、夏にテレソン(電話をかけると寄付になる仕組み)を行うジミー・ファンド主催のチャリティーラジオ番組が放送されますが、選手や選手の家族がこの番組に協力しています。また、シーズン中にはスタジアム内外でさまざまなチャリティーイベントが行われますが、その収益の一部がジミー・ファンドに寄付されています。

その他には、ボストン市内で恵まれない生活をしている人たちをケアする「ディモティック・センター」、経済的な理由で教育を受けられない子どものための「スカラーシッププログラム」、子どもたちが非行に走らないように野球にエネルギーを向けてもらうための「RBIプログラム」、そして、戦地で負傷したり精神障害を負ったりした兵士のサポートをする「ホームベースプログラム」があります。