牧野 洋の「メディア批評」
2014年12月05日(金) 牧野 洋

米ニュースサイト「インターセプト」がスパイウエア「レジン」報道で見せつけた「データジャーナリズム」の真骨頂

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米ニュースサイト「インターセプト」より

日本ではまずお目にかかれないスクープ

データ分析を駆使する「データジャーナリズム」は高い専門性を求められるし、権力と対峙する調査報道は高いリスクを伴う。両者を組み合わた報道を実践するのは容易ではない。

日本の主要メディアを見ると、データジャーナリズムと調査報道のいずれも弱い。データ分析に不可欠な統計学の博士号を持つような記者はいないし、記者クラブに所属しないで調査報道に専念する記者はかねて少数派だ。

そんなことから、10月31日公開の当コラムで書いたように、タカタ製エアバッグ事故報道でも日米で際立つ違いが出てくる。米ニューヨーク・タイムズは監督当局への報告や裁判所の記録を調べるなどデータ分析を基にメーカー側に隠し事がなかったかどうか報じていたが、日本の主要紙はメーカーや当局側の動きを伝えるばかりだった。

つい最近も「日本ではまずお目にかかれない」と思えるアメリカ発の報道を目にした。米ニュースサイトの「インターセプト」が11月24日(記事の日付は同月25日)に放ったスクープだ。欧州連合(EU)にサイバー攻撃を仕掛けたスパイウエア「レジン」の開発・運営に米英両国の諜報機関が関与している、というのだ(http://urx2.nu/eRhe)。

前日に米ウイルス対策ソフト大手シマンテックが衝撃的な調査報告を発表していた。国家の関与がなければ開発できないほど高度なマルウエア(悪意のあるソフト)が世界各国の政府や企業、研究機関から情報を盗み出していたという内容だ。このマルウエアがレジンだった。

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