【東京土地のグランプリ001】
櫻井幸雄さん「2015年に不動産はまだ上がる」


今回から連載が始まる【東京土地のグランプリ2015年版】は、東京23区を中心に、変わらぬ素晴らしい住宅地や、新しく生まれ変わった魅力的な物件を、すべて足で歩いてルポ、各区ごとのランキングを町丁目単位でまとめようというもので、現在『セオリー土地鑑定団』の記者たちが都内を取材中である。本題に入る前に、まずは住宅ジャーナリストの櫻井幸雄さんに、2014年から15年にかけての不動産の最新情勢と、今後「住みたい街」として注目されるであろう穴場を、2回にわたって語っていただこう。
中央区晴海の五輪選手村予定地。周辺の勝どき、豊洲一帯もマンション建設ラッシュ photo Getty Images

「不動産が上がると考える人が増えている」

櫻井幸雄氏     photo 講談社写真部

株式市場は概ね3ヵ月スパンで変化すると言われますが、2014年の不動産市場も例外ではなく同じくらいめまぐるしく状況が変わりました。

具体的に言えば、年明けから3月まではアベノミクスによるインフレ期待からマンション価格の先行き上昇を予想する人が増えたことで、大変好調でした。

ところが消費増税があった4月を境に急激に冷えてしまいます。7月以降は徐々に持ち直したものの、10月に入ると再び失速したまま年末を迎えようとしています。

一方で、不動産がこの先値上がりするのではないかと考える人は増えています。なのに市場が本格的にテイクオフしないのはなぜでしょうか。

ひとつは、30代を中心にした第一次取得層の動きが鈍いためです。私は彼らを「インフレ・バージン」と名付けましたが、生まれてからずっとデフレの社会で育ってきたため、浮かれてお金を使うと後で痛い目を見るだけ、じっくり待つのが正解と考えてしまうのです。デフレは終息して、これからはインフレになると頭ではわかっても、なかなか行動に移せないのでしょう。

新規物件数が細っていたことも市場が盛り上がらなかった理由です。土地の所有者はこの先オリンピックに向けて地価は上がると予想している人が多いため、現在の相場よりかなり高い値段を提示しなければ手放しません。高い調達価格の土地に上物を作っても充分な利益が得られない可能性があるため、多くのデベロッパーは手が出せないのです。

なかには安い値段で用地を確保している業者もありますが彼らは財務基盤が強く市場が盛り上がっていない今慌てて売ることはしません。結果的に市場全体が活気を失っているのです。

しかし、こうした降着状態はそう長くないと私は考えています。市場全体では盛り上がりに欠けるものの、ピンポイントでは変化の予兆が出ているからです。