干場の究極ワードローブ! キーワードは"エコラグ"
第17回 アスペジのナイロン製ダウンコート

アスペジのナイロン製ダウンコート

数々の男性誌に携わりながら、編集者として、ファッションディレクターとして、さまざまなアイテムを見てきた編集長の干場義雅が、40代の男性のライフスタイルを豊かにする厳選したワードローブをご紹介。腕時計や靴・鞄、スーツのように長い年月使えるものは減価償却できるので高額でも良い、しかし白シャツや白い無地のTシャツのように常に白いまま着たい消耗品は、高額なものよりコストパフォーマンスを重視した方が経済的だと言います。「多くの粗悪なものより少しの良い物を」「移り変わる流行よりも普遍的で美しいものを」。干場が掲げる哲学を突き詰めていくと……、ブルース・リーが提唱した無駄を排した最短の動き(エコノミック・モーション)で相手を倒すジークンドーのように、経済的かつ無駄のない、シンプルで美しいスタイルが浮かび上がってきます。足ることを知れば、自ずと本質的なワードローブが揃うのです。第16回はコチラ

軽くて暖かくシックな佇まい、アスペジのチェスター型ダウンコート

ミドルエイジの男性のためのビジネスシーンで使えるリッチなコートと言えば、チェスターフィールドコートや前回もご紹介したポロコートというのが一般的です。素材は、上質なウールやカシミアなどが代表的で、色は黒やネイビー、グレー、キャメルというのが汎用性が高く、重宝します。

とはいえ、ウールやカシミアという素材の特性上、どうしても雨には弱く、水が染み込んでしまうこともしばしば。そんな悩みを解決してくれたのが、このイタリアブランドであるアスペジのダウンコートです。

まず、このコートが優秀なのは、スーツやジャケットに似合うチェスターフィールド型にも関わらず、水に強いナイロンを使っているということ。さらに、ダウンなので驚くほど軽量で、暖かいのもポイントです。ダウンというと、フードが付いたり、ジップ仕様だったり、どうしてもスポーティなものが多く、ややカジュアルに見えてしまうんですよね。その点、このコートはテーラード型なので、きちんとした印象に見えますし、胸にバルカポケットが着いているのでグローブも納まり、襟を立てて着たときも様になるのです。

色もネイビーなので、ネイビーはもちろん、グレー、ブラウン、ブラックなどどんなアイテムでも使い回しが効く、まさしく全方位型で全天候型のコートです。

今となってはよく見かけますが、当時テーラード型のダウンコートはなかなか無く……、そんな中でクラシックかつシックな佇まいで、フィット感も良いアスペジのダウンコートはとても重宝しました。アスペジは、シンプルでベーシックなナイロン製品がとても上手なんですよね。余計なディテールで飾ったりもしませんし、色もネイビー、ブラウン、オリーブグリーンくらいしか使わないので、男っぽくて使いやすいのです。しかも当時で5万円程度、現在は展開が少ないのが残念ですが、できれば定番化して欲しい商品です。

軽くて柔らかいカシミア素材やキャメル、上質なウールなど柔らかい素材のコートに加えて、こういった悪天候時にサラっと羽織れるナイロン素材のシンプルでシックなダウンコートがあれば、冬の装いの幅も広がるはずですし、それぞれを長く大切に着こなすことができ、結果経済的。つまり“エコラグ”なアイテムですので、ぜひワードローブに加えてみてはいかがでしょうか?

Photo:Yasuhisa Takenouchi
Text:FORZA STYLE

エコラグ-Hoshipedia
「エコラグ」とは、エコノミック・ラグジュアリーの略。economic luxury。極めて経済的だが、上質さやエレガンスは失わないスタイルの意味。「多くの粗悪なものより少しの良い物を」という干場の哲学により生まれた造語。腕時計や靴・鞄、スーツのように長い年月使えるものは高額でも、白シャツや白無地のTシャツのように常に白いまま清潔に着たい消耗品は、高額なものよりもコストパフォーマンスを重視するというスタイル。パテック・フィリップの腕時計やジョン・ロブの靴と、カミチャニスタやデッコーロの白シャツ、GAPの白無地のTシャツは干場にとっては同じ。一点豪華主義とも違う。干場が敬愛するブルース・リー先生が提唱した無駄を排した最短の動き(エコノミック モーション)で相手を倒すジークンドーのように、経済的で盛り過ぎない、かつ無駄のないシンプルで上質なスタイルを指す。

干場義雅
FORZA STYLE編集長

数々の男性誌に携わりながら、編集者として、ファッションディレクターとして活動。2010年に独立後は、新聞、テレビ、雑誌、ラジオなどメディアの枠を超えて多方面で活躍中。