デジタル・エディターズ・ノート
2014年12月02日(火) 佐藤 慶一

新しい民主主義のプラットフォームづくりを目指して---公共性を高めるスマートニュースの挑戦

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事業戦略を発表するスマートニュース共同CEOの鈴木健氏

「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」

ニュースアプリを開発・運営するスマートニュース株式会社が12月1日、事業戦略発表イベント「SmartNews Compass 2014」を開催した。2012年12月にリリースされたスマートニュースは、現在までにダウンロード数600万以上、デイリーアクティブユーザー200万人、月間アクティブユーザー400万人を超える。

世界中でスマートフォン利用者が20億人以上というデータもあり、今後、その規模は拡大していく。小さな画面でニュースを読むことが増加しているため、現に海外では影響力をもつ新興メディアが生まれ、資本と才能が集まる状況がある。「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」というミッションを掲げるスマートニュースは、そんなグローバルな潮流に乗る。

「世の中には読むべきコンテンツが多くありますが、読むべき人に届いていません。ソーシャルメディアが普及した現代社会では、関心のある情報しか読まなくなっています。これは『フィルターバブル』と呼ばれていますが、民主主義の基盤を破壊するものになりえます。これからは、興味を狭めるのではなく、興味を広げるメディアが求められているのではないでしょうか」(共同代表鈴木健氏)

スマートニュースはユーザーやメディアから支持を受けている。デイリーアクティブユーザーを月間アクティブユーザーで割ったエンゲージメント率は50%と高い(フェイスブックのそれは64%)。また、ニールセンの調査によれば、利用者数が1位だ。メディアに対しては、月間1000万PV以上を誘導している媒体数が10以上あることに加え、4大全国紙や2大通信社、民放テレビ局などもパートナーとして網羅する。

メディアパートナーに対して「パブリッシャーフレンドリー」の姿勢をとるスマートニュース。スマートモードでは広告を表示でき、その100%をメディア側の利益とすることが可能な「スマートフォーマット」を推進し、現在では380メディアが採用している。これらの支持の背景には技術開発がある。鈴木氏は、スマートニュースを「マシンラーニングカンパニー」と呼び、データサイエンスの専門家が集結することで、人間の学習能力を機械で再現する「機械学習」に取り組む。

鈴木氏とともに代表を務める浜本階生氏は、アルゴリズムを信じる理由を3つ共有した。[1] ニュースは中立でなければならない(アルゴリズムでの選出が公平なのかは議論が分かれるが)、[2] ニュースは多様でなければならない、[3] 世界中の情報を世界中に届けていく、というものだ。スマートニュースのアルゴリズム(スマートモード)もこのような思想のもと開発されている。

10月には、日米同時に「SmartNews2.0」を発表したばかり。米国版ではすでに21のチャンネルプラスを開設。米App StoreやGoogle Play Storeのニュース部門で1位を獲得することもあった。ヴァイス・プレジデント コンテンツ担当/チーフ・ジャーナリストを務めるリッチ・ジャロスロフスキー氏も登壇し、「デスクトップからモバイルヘ、検索からソーシャルへという変革のとき。伝統メディアがリーチしにくかったモバイルユーザーに情報を届けることで、メディアの成功のお手伝いをしたい」とコメントを添えた。

また、米国版にチャンネルを開設しているアトランティックメディア社の「Quartz(クオーツ)」編集長、ケビン・ディレイニー氏は、「モバイルやタブレットのあとにデスクトップを考えた。クオーツのジャーナリストはモバイルユーザーを想定して記事を書いている」とメディアの考えを述べ、スマートニュースについては、高いエンゲージメント率やオフラインでも読むことができるSmartモードを評価した。今後の開発に関して浜本氏は、「コンテンツに集中できるユーザー体験を中心に据えて開発をすすめていく」と語った。10億人を超える英語話者に向けた「インターナショナル版」のリリースを控える。

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