与野党が原発問題に「ダンマリ」の隙に
「老朽」高浜原発再稼働へ関西電力が独走中

関西電力の八木誠社長                   photo   Getty Images

公示日を迎えてヒートアップする総選挙戦の中で、この分野だけは「触らぬ神に祟りなし」といわんばかりの態度で与野党が踏み込んだ公約を出し渋っている原発政策について、たった一社で波紋を投げかけている“勇敢”な会社がある。

自民党は統一地方選まで「原発政策はダンマリ」

高浜原子力発電所の1、2号機で原則40年の運転期間を20年延長しようとしている関西電力だ。同社の八木誠社長は先週水曜日(11月26日)の記者会見で、「安全性確保のために必要な各種対策などを実施できるメドがついた」と語り、近く原子炉の状態を調べる特別点検を始めると表明したという。

しかし、高浜原発再稼働に疑問を投げかけているのは、11月18日付の本コラム(「『関西電力』が『40年超老朽原発』運転延長へ 経産省はなぜこの暴挙を止めないのか」など)や新聞各紙が指摘している老朽化に伴うリスクだけではない。

実は、福島第一原発事故を調査した国会事故調などが指摘した「複数ユニット」(1ヵ所に2機以上の原子炉を置くこと)とか「集中立地」と呼ばれる問題も、大きな影を落としている。せっかく関西電力が議論の場を提供してくれているので、今回はその問題を取り上げることにした。

解散前から予想されたこととはいえ、やはり与野党はそろって原発に踏み込んで大きな争点にしたくないらしい。本稿の執筆段階(11月30日現在)で、出揃っている各党のマニフェストは、原発関連の諸策の実現性や必要なコスト、その結果値上がり確実な電気料金の詳細など肝心なポイントに関する記述が驚くほど乏しい。

例えば、総選挙での勝利が確実視されている連立与党では、自民党が「責任あるエネルギー戦略を」というタイトルを掲げ、「安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源との位置付けの下、活用してまいります」と大上段に振りかぶりながら、肝心の「重要なベースロード電源」とは全体の何パーセント程度を指すのかまったく触れずじまいだ。

同様に原発依存度の項目でも、「徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の高効率化により、可能な限り低減させます」としているものの、それらの振興策にいくら資金が必要で、どの程度を税金や電気料金で賄う計画なのかをまったく明かしていない。

関連して言うと、自民党の稲田朋美政調会長は11月23日のNHK番組で、原子力を含む電源のベストミックス(最適構成)について、「来年の夏までにつくる」と表明したという。これまで安倍政権は発足から2年にわたってベストミックスの策定をのらりくらりと先送りしてきたが、稲田発言はさらに今後も先送りを続けて、今回の総選挙どころか、来年春の統一地方選でもだんまりを決め込むという趣旨に他ならない。